家づくりで床材を選ぶとき、多くの方が気にされるのが「見た目」「価格」「掃除のしやすさ」です。

私、今利之は、吹田市で21年間、数えきれないほどのお宅の床材選びに立ち会ってきました。その中で、自然素材の床材として根強い人気があるのが、杉(スギ)の無垢材です。

一方で、杉の床について調べると、「杉の床は傷つきやすい」「へこみやすい」「無垢材は手入れが大変そう」といったデメリットも出てきます。

たしかに、杉は硬い床材ではありません。家具を引きずったり、物を落としたりすれば、傷やへこみがつくこともあります。実際、私がこれまで担当してきたお宅でも、お子さまがおもちゃを落として小さなへこみができた、というお話は何度も伺ってきました。

しかし、それでも杉の床が選ばれ続ける理由があります。それは、毎日素足で歩いたときのやわらかさ・あたたかさ・心地よさが、一般的なフローリングとは大きく違うからです。

私は、引き渡しから何年も経ったお宅に伺うたびに、「傷もついたけど、この床にして良かった」と言っていただく場面を何度も見てきました。この記事では、その理由を正直にお伝えします。

この記事の要点

  • 杉の床材は、やわらかく傷やへこみがつきやすいというデメリットがあります。
  • 一方で、足元が冷えにくく、素足で歩いたときの心地よさや調湿性、経年変化を楽しめる点が大きなメリットです。
  • 傷を欠点ではなく暮らしの味として受け止められる方には、杉の無垢床は相性の良い自然素材です。

杉の床材のメリット

1. 足元が冷えにくく、冬でもやさしい

杉の床の大きな魅力は、足ざわりのやさしさです。冬場に合板フローリングやタイルの上を歩くと、足裏から一気に熱を奪われるような冷たさを感じることがあります。一方、杉の無垢床は、触れた瞬間の冷たさがやわらかいのが特徴です。木材は熱を伝えにくい素材のため、足裏の熱が奪われにくく、足元が冷えにくく感じられます。

特に、リビングや寝室、子ども部屋など、素足で過ごす時間が長い場所では、この違いを体感しやすくなります。私が担当させていただいたお宅でも、「冬に靴下を履かなくても平気になった」というお声をいただくことが少なくありません。

2. やわらかく、足腰への負担が少ない

杉は、木材の中でも比較的やわらかい素材です。この「やわらかさ」は、傷つきやすさにもつながりますが、同時に大きなメリットでもあります。硬い床の上を長時間歩くと、足裏や膝、腰に負担を感じることがあります。杉の床は、踏んだときにほんの少し受け止めてくれるような感覚があり、暮らしの中で足元がやさしく感じられます。小さなお子さまが床に座ったり、寝転んだりするご家庭にも相性が良い素材です。

3. 夏はさらっと、冬はほんのりあたたかい

杉の無垢床は、冬のあたたかさだけでなく、夏の足ざわりにも魅力があります。ビニール系の床材では、湿度が高い時期に足裏がベタつくように感じることがあります。一方、無垢材は空気中の湿気を吸ったり吐いたりする性質を持っています。そのため、室内の湿度変化をやわらげ、さらっとした足ざわりを感じやすくなります。

もちろん、床材だけで家全体の温熱環境が決まるわけではありません。断熱・気密・換気・日射計画なども大切です。ただ、毎日直接肌に触れる床だからこそ、杉の持つ自然な感触は暮らしの快適さに大きく関わると、私は現場で感じています。

4. 経年変化を楽しめる

杉の床は、新品のときが完成形ではありません。年月が経つにつれて色味が少しずつ深まり、家族の暮らしに馴染んでいきます。最初は明るくやさしい表情だった床が、日差しや生活の時間を重ねることで、少しずつ味わいのある雰囲気になっていく。これは、プリントされた床材では出しにくい、無垢材ならではの魅力です。

私自身、竣工から10年、20年と経ったお宅に伺うことがありますが、杉の床は新築時とはまったく違う、飴色に近い落ち着いた表情になっています。それを見るたびに、「この家族はここで本当に暮らしてきたんだな」と実感します。傷やへこみも、見方を変えれば「家族が暮らしてきた跡」です。お子さまが小さい頃につけた傷、椅子を動かした跡、家族で過ごした時間の痕跡。無垢の杉床は、そうした暮らしの記憶を少しずつ受け止めていく素材とも言えます。

5. 自然素材らしい香りと落ち着きがある

杉には、木ならではの香りがあります。強すぎる香りではなく、室内に入ったときにふっと感じる自然素材らしい空気感です。見た目だけでなく、足ざわり、香り、空気感。こうした五感に働きかけるところが、杉の無垢床の大きな魅力です。

杉の床材のデメリット

1. 傷やへこみがつきやすい

杉の最大のデメリットは、やはり傷つきやすさです。杉はやわらかい木なので、硬いものを落とするとへこみます。椅子や家具を引きずると、傷がつくこともあります。そのため、床をいつまでも新品同様に保ちたい方、小さな傷も気になる方、メンテナンスをできるだけ避けたい方には、杉の無垢床は合わない可能性があります。

ただし、これは「素材として弱い」というより、杉の特徴です。やわらかいから傷がつく。外観上の変化は避けられません。でも、やわらかいから足ざわりが良い。この表裏を理解して選ぶことが大切だと、私はいつもお客様にお伝えしています。

2. 水や汚れには注意が必要

無垢材は、長時間水に濡れたままにしておくと、シミや反りの原因になることがあります。キッチン、洗面所、トイレなど、水を使う場所では特に注意が必要です。

  • 飲み物をこぼした場合は、できるだけ早く拭き取る
  • 水まわりではマットを活用する
  • 汚れが気になる場合は、塗装や仕上げ方法を検討する

こうした日常的な配慮は必要です。

3. 季節によって伸び縮みすることがある

無垢材は、空気中の湿気を吸ったり吐いたりします。これは調湿というメリットである一方、季節によって木が伸び縮みする原因にもなります。乾燥する時期には、床材同士のすき間が少し目立つことがあります。湿度の高い時期には、逆に木が膨らむこともあります。ただし、これは無垢材の自然な性質です。工業製品のように常に同じ状態であることを求める方には気になるかもしれませんが、自然素材としての変化を楽しめる方には、むしろ魅力にもなります。

杉の床材のメリット・デメリット比較表

項目 メリット 注意点・デメリット
足ざわり やわらかく、素足で歩いたときに心地よい 硬い床材に比べると傷やへこみがつきやすい
冬の冷たさ 熱を伝えにくく、足元が冷えにくい 断熱性能や暖房計画との組み合わせも重要
湿度への対応 湿気を吸ったり吐いたりする調湿性がある 季節によって伸び縮みやすき間が出ることがある
見た目 年月とともに色味が深まり、味わいが増す 均一な見た目を保ちたい方には不向きな場合がある
暮らしとの相性 子どもが床で過ごす時間が多い家庭にも相性が良い 水濡れや汚れには日常的な配慮が必要

杉の床は、どんな人に向いている?

■ 杉の床が向いている方

  • 素足で気持ちよく暮らしたい方
  • 冬の床の冷たさが苦手な方
  • 自然素材の家にしたい方
  • 子どもが床で過ごす時間を大切にしたい方
  • 傷も含めて、家族の暮らしの味として受け止められる方
  • 新品の美しさより、時間とともに深まる雰囲気を楽しみたい方

■ 慎重に検討した方がよい方

  • 床の傷をできるだけ避けたい方
  • 家具の跡やへこみが気になる方
  • 水濡れや汚れへの手入れを極力したくない方
  • 均一で変化の少ない仕上がりを求める方

杉の床は、万人向けの万能素材ではありません。だからこそ、メリットとデメリットを正直に理解したうえで選ぶことが大切だと、私は考えています。

杉は「床」だけでなく、腰板にも相性が良い

杉の魅力は、床材だけではありません。たとえば、壁の下部分に張る杉の腰板(こしいた)にも使われます。

腰板とは、壁の下半分ほどに木材を張る仕上げのことです。杉の腰板を使うと、室内に自然素材のあたたかみが生まれます。また、壁の下部分は家具や荷物が当たりやすい場所でもあるため、クロスだけの壁よりも、木の質感を活かした落ち着いた空間にしやすくなります。玄関、廊下、リビング、階段まわりなどに杉の腰板を取り入れると、家全体の雰囲気がやわらかくなります。床に杉を使う。壁の一部に杉を使う。家族がよく触れる場所に自然素材を使う。こうした工夫によって、住まいの空気感は大きく変わります。

私、今利之が自然素材にこだわる理由

アイワホームでは、家を単なる箱として考えていません。毎日帰ってくる場所。子どもが育つ場所。家族が長い時間を過ごす場所。だからこそ、見た目のデザインや設備だけでなく、肌に触れる素材、空気感、足ざわりも大切にしています。これは私が21年間、吹田市で数多くのお宅を見てきた中で、揺らぐことのなかった考え方です。

杉の床は、傷がつきます。へこむこともあります。でも、その代わりに、素足で歩いたときの心地よさがあります。冬の足元のやさしさがあります。年月とともに深まる表情があります。家を「きれいに保つもの」としてだけでなく、「家族の時間を重ねていくもの」として考えるなら、杉という素材には大きな価値があると、私は自信を持ってお伝えします。

よくある質問

Q. 杉の床は本当に傷つきやすいですか?
A. はい、杉は比較的やわらかい木材のため、硬いものを落としたり家具を引きずったりすると、傷やへこみがつくことがあります。ただし、そのやわらかさが足ざわりの良さや快適さにもつながっています。

Q. 杉の床は冬でも冷たく感じにくいですか?
A. 杉を含む木材は熱を伝えにくい素材のため、足裏の熱が奪われにくく、合板フローリングやタイルに比べて冷たさを感じにくい傾向があります。素足で過ごすことが多いリビングや寝室に向いています。

Q. 杉の床は手入れが大変ですか?
A. 特別に難しいわけではありませんが、水濡れや汚れを長時間放置しないことが大切です。飲み物をこぼした場合は早めに拭き取り、水まわりではマットを使うなど、日常的な配慮が必要です。

Q. 杉の床は子育て世帯に向いていますか?
A. 杉の床はやわらかく、子どもが床に座ったり寝転んだりする時間が多いご家庭にも相性が良い素材です。ただし、おもちゃや家具による傷はつきやすいため、傷を暮らしの味として受け止められるかがポイントです。

Q. 杉は床以外にも使えますか?
A. はい。杉は床材だけでなく、壁の下部分に張る腰板にも相性の良い素材です。玄関、廊下、リビング、階段まわりなどに取り入れることで、自然素材のあたたかみを感じられる空間になります。

まとめ:杉の床は、傷よりも”心地よさ”を大切にする人に向いている

杉の床材には、たしかにデメリットがあります。傷つきやすい。へこみやすい。水や汚れに注意が必要。季節によって伸び縮みすることもある。しかし、それ以上に、足元が冷えにくい、やわらかくて気持ちいい、夏も冬も肌ざわりがよい、自然素材ならではの香りや表情がある、年月とともに味わいが増す、という魅力があります。

杉の床は、完璧に傷のない床を求める方には向いていないかもしれません。でも、家族の暮らしに寄り添い、時間とともに味わいを増していく床を求める方には、とても相性の良い素材です。床は、毎日必ず触れる場所です。だからこそ、家づくりでは見た目だけでなく、「素足で歩いたときにどう感じるか」「冬の朝に冷たく感じにくいか」「家族が自然と床に座りたくなるか」という視点も大切にしてみてください。杉の床は、傷つきやすさを超えて、暮らしの快適さを足元から支えてくれる素材です。

吹田市で自然素材の家づくりをお考えの方へ

私、今利之とアイワホームでは、杉をはじめとした自然素材の心地よさを大切にしながら、吹田市で家族が長く安心して暮らせる住まいづくりを行っています。床材や内装材の選び方も、実際の暮らし方に合わせてご提案いたします。自然素材の家づくりに興味がある方は、お気軽にご相談ください。

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