上棟したばかりの家を見に行ったら、前日の雨で柱や梁が濡れている。
「せっかくの新しい家なのに、木材が濡れて大丈夫だろうか」
これから家を建てる方にとっては、かなり心配になる光景だと思います。
結論からいうと、上棟後に木材が一度雨に濡れたからといって、それだけで直ちに家に問題が起こるわけではありません。
大切なのは、「濡れたかどうか」よりも、「濡れたあとにどう処置するか」です。
私が現場で特に注意しているのは、柱や梁だけではなく、床下に入った水です。今回は、吹田市で木造住宅を建築している私たちアイワホームが、上棟後に雨が降ったとき、実際の現場で何を確認し、どのように乾燥させているのかをお伝えします。
この記事でお伝えしたいこと
- アイワホームは基本的に雨天時の上棟を行わない施工方針
- 構造用合板(特類)の耐水性能と、雨濡れ放置による木材腐朽菌・カビのリスク
- 現場監督が最も警戒する「床下に溜まる雨水」と排水ポンプによる強制排出
- 送風機による乾燥と、手触りではなく「含水率計」による数値測定(気乾状態12〜15%・基準20%以下)
- 完成後は見えなくなる建築途中の現場管理と品質へのこだわり
私たちは基本的に雨の日に上棟しません
まず前提として、私たちアイワホームでは基本的に雨天時の上棟は行いません。
上棟は、柱や梁などの構造材を一気に組み上げていく大切な工程です。安全面もありますし、できるだけ木材を濡らさないという意味でも、天候を見ながら上棟日を判断しています。
ただし、「上棟の日に雨が降らなければ、その後も木材は一切濡れない」というわけではありません。
上棟した日の夜に雨が降ることもあれば、翌日から雨になることもあります。家が完成するまでには何か月もの工事期間がありますから、建築中に一度も雨に遭わないというのは現実的ではありません。だからこそ重要になるのが、雨が降ったあとの現場管理です。
上棟後はブルーシートで雨養生します
上棟後は、できるだけ建物内部へ雨水が入り込まないよう、ブルーシートなどを使って養生します。建方中の構造材を雨から守るためのシート養生は、木造建築の施工管理において基本とされている工程です。
ただし、上棟直後の建物はまだ屋根や外壁の防水が完成していません。ブルーシートで養生していても、雨の強さや風向きによっては雨水が入り、柱や梁、床の構造用合板などが濡れることがあります。
では、濡れてしまったら木材はダメなのでしょうか。
木材は一度雨に濡れたらダメになる?
そうではありません。
合板には接着性能による等級があり、なかでも「特類」は屋外や長期間の湿潤環境にさらされても接着がはがれにくい、耐水性の高い区分として位置づけられています。
とはいえ、雨に濡れたあと十分に乾燥させないまま施工を進めると、黒カビや木材腐朽菌などが発生し、強度性能や耐久性能を低下させる危険があります。著しく濡れた場合には、十分乾燥させてから次の工程へ進むことが基本です。
つまり、「木材が雨に濡れた=家がダメ」ではありません。問題なのは、濡れた状態を長く放置したり、十分乾燥していない状態で次の工程へ進んだりすることです。
実は現場監督が特に気にするのは「床下」です
上棟後に雨が降った現場を見ると、どうしても目につくのは濡れた柱や梁です。
ところが、私が現場監督として特に注意してきた場所の一つが、床下です。
上棟直後は建物の雨仕舞がまだ完成していないため、内部へ入った雨水が床下へ落ちることがあります。そして床下は建物の低い位置にあるため、水が入れば溜まりやすい。
柱や梁の表面は風が通れば比較的乾燥しやすいのですが、床下に溜まった水をそのままにしておくわけにはいきません。そこで私たちは、床下に水が溜まった場合、まず排水ポンプを使って水を外へ排出します。
それで終わりではありません。
排水したあと、送風機で床下を乾燥させます
目に見える水を排出しても、基礎の表面や床下の木材には水分が残っています。そこで使用するのが送風機です。
床下へ風を送り、湿った部分を十分に乾燥させていきます。柱や梁などの構造材が濡れた場合も、基本的には風を通しながら自然乾燥させます。
ここで重要なのは、「水がなくなった=乾いた」ではないということです。表面だけを見ると乾いているように見えても、木材内部にはまだ水分が残っていることがあります。そのため、次に確認するのが木材の含水率です。
新築営業からリフォーム・メンテナンス、工事部門まで現場を歩いてきた中で、私自身、上棟後の大雨のあとに床下を覗き込んで水位を確認したことが何度もあります。見た目には水が引いていても、送風機を回してしばらく経ってから含水率計を当ててみると、思っていたより数値が高いままだったということも珍しくありません。数字で確認するまでは判断しない、というのはそうした経験から身についた習慣です。
「乾いた気がする」ではなく、含水率を確認する
木材にどれくらい水分が含まれているかを示す数字を含水率といいます。
木材は周囲の湿度によって水分を吸ったり放出したりする材料なので、含水率は常に一定ではありません。雨に濡れれば当然、含水率は上昇します。だからこそ、濡れた木材を乾燥させたあとには、見た目や手触りだけではなく、含水率を確認することが大切です。
公共建築工事の仕様でも、現場で木材の含水率を確認する方法として、電気抵抗式水分計や高周波水分計による測定が示されています。私たちも、雨によって木材が濡れた場合は乾燥させたうえで、含水率を確認してから次の工程へ進みます。
「触ったら乾いていたから大丈夫」ではなく、数値でも確認する。これも現場管理では大切なことです。
含水率は何%なら大丈夫?
ここは少し注意が必要です。木材について調べると、「含水率20%」という数字をよく目にします。
木材に関する資料では、木材は一般的に気乾状態(空気中の湿度と平衡した状態)で含水率12〜15%程度となり、含水率20%以下では腐朽菌の活動が抑えられ、腐朽しにくくなるとされています。また、製材のJAS(日本農林規格)にも人工乾燥材として「SD15」「SD20」などの区分があり、SD20は含水率20%以下を意味します。
ただし、「現場で測って20%以下なら、どんな木材でも絶対に大丈夫」という意味ではありません。材料の種類や部位、測定する場所、施工条件などによって判断は変わります。そのため、私たちは単に一つの数字だけを見るのではなく、現場の状態と合わせて乾燥状況を確認しています。
木材にとって怖いのは「濡れること」より「濡れた状態が続くこと」
木材腐朽菌が活動するためには、水分などの条件が必要です。木材の含水率が高い環境では腐朽が進みやすく、20%を下回ると腐朽菌の活動が抑えられるとされています。
つまり、木材にとって本当に気をつけたいのは、雨粒が一度当たったことではありません。水分を多く含んだ状態が長く続くことです。
だから私は、
- 雨が入ったら水を抜く。
- 風を送って乾燥させる。
- 木材も十分乾燥させる。
- そして含水率を確認する。
という工程を大切にしています。
上棟後に雨が降っても、慌てて「家がダメになった」と考えなくて大丈夫です
上棟したばかりの家が雨に濡れているのを見ると、不安になるのは当然です。特に初めて家を建てる方なら、「新品の木材なのに……」と思われるかもしれません。
でも、家を建てている数か月の間、一度も雨に遭わないとは限りません。大切なのは、
- 雨に濡らさないための養生をすること。
- そして、それでも濡れてしまった場合には、水を残さない。十分に乾かす。乾燥状態を確認してから次の工程へ進む。
ということです。
上棟後の雨で本当に見るべきなのは、「濡れたかどうか」だけではなく、「そのあと現場で何をしているか」。特に床下に水が溜まっていないか、濡れた木材をきちんと乾燥させているか、含水率まで確認しているか。こうした一つひとつの現場管理が、完成してしまえば見えなくなる部分の品質につながります。
これからも吹田市で家を建てる会社として、完成した家だけではなく、建築途中の見えなくなる部分もしっかり確認しながら家づくりを進めていきます。
今 利之(こん・としゆき)
アイワホーム株式会社 マーケティングディレクター
2005年入社、吹田の地で21年。新築営業・リフォーム・メンテナンス、賃貸、工事部門など、現場の最前線で歩んできました。
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※創業36年、吹田の地で家族の暮らしに寄り添う住まいづくりを。吹田の暮らしに寄り添う家づくりを、これからも。
