「コンセント、思っていたより足りなかったんです」

私がアイワホームに入社して最初に配属されたのは新築営業でした。お客様と一緒に間取りや電気図面を何度も見返す中で、こう言われたことが何度もあります。カップボードの上に炊飯器と電子レンジを置いたら、コーヒーメーカーをつなぐ場所がなくなってしまった、というようなお話です。新築営業を離れてからも、リフォームやアフターの現場でこの手の相談を受けることは、決して珍しくありません。

新築の間取りを考えているとき、
「コンセントって、各部屋に何個くらいあればいいですか?」
と気になる方は多いと思います。6畳の洋室なら何個、LDKなら何個、という目安もあります。

ただ、実際の家づくりで大切なのは、家全体にコンセントが何個あるかだけではありません。それより大切なのが、「どこで何を使うか」です。

コンセントがたくさん付いていても、家具の後ろに全部隠れてしまったり、使いたい場所から遠かったりすれば、結局は延長コードや電源タップを使うことになります。しかも新築後にコンセントを追加しようとすると、場所によっては壁や天井を触ったり、配線を露出させたりしなければならないこともあります。

今回は、新築住宅のコンセントはいくつあればいいのか、そして特に設計段階で考えておきたい「建てた後では増やしにくい5つの場所」について、新築営業時代からこれまで見てきた実例も交えながら考えてみます。

この記事でお伝えしたいこと

  • 新築のコンセント計画における最新の考え方と不満率(約75%)のリアル
  • 建築後に増やそうとすると後悔する「5つの要注意エリア」
  • 図面段階で必ず行うべき「家具サイズ・家電レイアウトの落とし込み」
  • キッチンや屋外(EV充電先行配線等)で気を付けたい専用回路と将来設計
  • 「個数→場所」から「暮らし→場所→個数」へ切り替える失敗しない電気計画手順

新築のコンセントは何個あれば足りる?

最初に結論から言うと、「家全体で○個あれば足りる」という正解はありません。部屋数だけでなく、家族構成や家具の配置、持っている家電、将来使う可能性のある設備によって必要な数が大きく変わるからです。

従来から使われている目安の一つとして、内線規程を基にしたコンセント数では、6~8畳程度の居室なら4個、台所なら6個などが示されています。

一方、スマートフォン、タブレット、パソコン、ゲーム機、ロボット掃除機、調理家電など、家庭で使う電気製品は増えています。パナソニックが2025年に発表したモデルプランでは、4人家族・約20畳のリビングダイニングで31口以上、キッチンで20口以上という提案もされています。ただし、これはすべての住宅にその数が必要という意味ではありません。使う家電と暮らす場所から逆算すると、それくらい電源を使うケースもあるという一つのモデルです。

実際、2025年に実施された調査では、家庭のコンセントの位置または数に約75%の人が不満を感じていました。私がこれまで担当してきたお客様の傾向とも近い数字だと感じます。だから新築時には、「何個付ける?」だけではなく、「どこで何を使う?」から考えることが大切です。

1.キッチン背面・カップボード・パントリー

まず確認してほしいのがキッチンです。冷蔵庫、電子レンジ、炊飯器、トースターに加えて、電気ケトル、コーヒーメーカー、ミキサー、自動調理鍋、ホームベーカリーなど、キッチンで使う家電はかなり増えました。

特に注意したいのがカップボードの上です。冒頭でご紹介した例のように、「コンセントは付いているから大丈夫」と思っていても、炊飯器と電子レンジを置いたら埋まってしまい、「コーヒーメーカーをどこにつなぐ?」となることがあります。

パナソニックも広い背面カウンターでは、左右だけではなく中央も含めた3カ所を目安として提案しています。また、パントリー内部への設置も紹介されています。

そしてキッチンでは、単純に差込口を増やせばいいわけではありません。電子レンジやオーブントースターなど消費電力の大きな機器については、専用コンセント・専用回路を基本とする考え方もあります。「何台置く予定か」まで決めてから電気計画を考えたい場所です。

2.ダイニングテーブル・ソファ周辺

意外と忘れやすいのが、部屋の中央です。ダイニングでは、ホットプレートや卓上IHを使ったり、子どもがタブレットで勉強したり、ノートパソコンを広げて仕事をしたり。ソファではスマートフォンやタブレットを充電することもあります。

ところが、一般的なコンセントは壁にあります。ダイニングテーブルやソファを壁から離して配置すると、「使いたい場所とコンセントが遠い」という問題が起こります。

パナソニックの調査でも、欲しいコンセントの位置として「ダイニングテーブル横・下」が1位、「ソファ周り」が4位となっています。間取りによってはテーブル横の壁へ設置したり、床用コンセントを検討する方法もあります。

ここで重要なのは、家具を置いていない図面だけを見てコンセントを決めないこと。打ち合わせの際、私はお客様に家具のサイズを測ってきていただき、図面上に実際の配置で書き込んでもらうことをお勧めしています。ダイニングテーブル、ソファ、テレビを実際に図面上へ置いてみると、必要な位置がかなり見えてきます。

3.シューズクローク・収納の中

「収納なのにコンセント?」と思われるかもしれません。しかし最近は、収納の中で充電したい物が増えています。

玄関なら、

  • 電動アシスト自転車のバッテリー
  • 高圧洗浄機などのバッテリー
  • 靴乾燥機
  • 除湿機

室内収納なら、

  • コードレス掃除機
  • ロボット掃除機

などがあります。

パナソニックも玄関のコンセント用途として、電動アシスト自転車や高圧洗浄機のバッテリーなどを挙げています。リビング収納内についても、ロボット掃除機やコードレス掃除機を収納したまま充電する配置が提案されています。

収納は完成すると棚が入り、物が入り、壁面を使います。その後で、「ここにコンセントが欲しかった」となると、きれいに追加できる場所が限られる場合があります。収納計画を考えるときは、「何をしまうか」だけでなく「収納の中で充電する物はないか」まで考えておくといいでしょう。

4.駐車場・建物外周

屋外コンセントも、新築時に検討しておきたい設備です。高圧洗浄機、電動工具、庭の照明、防犯カメラなど、住み始めると意外に電源を使います。

さらに今後考えておきたいのがEV・PHEVです。「今はガソリン車だから必要ない」というご家庭でも、10年後に車を買い替えるときは分かりません。

2025年のパナソニック調査では、EV充電設備を後から設置した場合に「配線が露出することを知らなかった」という人が67.5%、「費用や手間がかかることを知らなかった」という人が56.4%でした。将来の充電設備を見越して先行配線できる仕組みもすでに商品化されています。

もちろん、全員が新築時にEV充電器を付ける必要はありません。でも、「将来付けるなら、どこから電源を持ってくるか」だけでも設計時に考えておく価値があります。

5.洗面・脱衣・ランドリースペース

最後は洗面・脱衣・ランドリースペースです。ここも昔に比べて家電が増えています。洗濯機、衣類乾燥機だけでなく、ドライヤー、ヘアアイロン、電動歯ブラシ、シェーバー、美容家電、衣類スチーマー、除湿機、サーキュレーターなど。

パナソニックの現在のモデルプランでは、洗面・ランドリースペースで13口以上を想定した例もあります。もちろん13口をそのまま付ければいいという話ではありません。たとえば、

  • 「ドライヤーはどこで使う?」
  • 「電動歯ブラシはどこで充電する?」
  • 「除湿機を置く可能性は?」
  • 「衣類乾燥機を将来設置する?」

と一つずつ考えてみます。洗面台、収納、洗濯機など大きな設備の位置が決まっている空間だからこそ、設備が完成してからコンセント位置を変えるのは簡単ではありません。

コンセント計画は「個数→場所」ではなく「暮らし→場所→個数」

新築のコンセント計画でおすすめしたいのは、「この部屋には4個付けよう」から始める方法ではありません。まず、

  1. どこで過ごすか
  2. そこで何を使うか
  3. 常時つないでおく物は何か
  4. 時々使う家電は何か
  5. 将来増えそうな物は何か

を考えます。そこから、場所 → 高さ → 必要な口数 → 回路を決めていく。こちらの方が実際の生活に合ったコンセント計画になります。

パナソニックも2026年4月から、部屋と使用予定の家電を選ぶことで必要なコンセント数の目安を算出する「コンセント数チェックツール」を公開しています。コンセントを「部屋の広さ」だけではなく「そこで使う家電」から考える方向へ変わってきているのです。

正直なところ、この考え方で計画を詰めていくと、打ち合わせの回数や検討事項は増えます。口数を増やせばその分コストもかかりますし、「とりあえず全部の壁に付けておく」というわけにもいきません。それでも、住み始めてから延長コードだらけの部屋になってしまうより、打ち合わせの段階でしっかり時間をかける方が、結果的には満足度の高い家になると私は感じています。

図面でコンセントを見るときは「家具」も一緒に

新築の電気図面を見ると、コンセントの記号はたくさん入っています。そのため、「これだけあれば大丈夫そう」と思ってしまいがちです。

でも大切なのは数ではありません。ソファを置いたら隠れないか。ベッドを置いたら使えるか。カップボードに家電を並べたら足りるか。掃除機はどこで充電するか。将来、駐車場で電源が必要にならないか。

家具と家電が入った状態を想像しながら図面を見ること。これだけでも、コンセント計画の失敗はかなり減らせます。

新築のコンセントに「何個あれば正解」という数字はありません。大切なのは、「何個付けたか」より、「使いたいところにあるか」。

家が完成すると見えなくなってしまう電気配線だからこそ、間取りを考えている今の段階で、一度じっくり考えてみてください。吹田で家づくりをされる方からのご相談も、ぜひお気軽にお寄せください。

今 利之(こん としゆき)
アイワホーム株式会社 マーケティング担当
2005年入社。新築営業からキャリアをスタートし、リフォーム・メンテナンス、賃貸、建築の各部門を経て、現在はマーケティング担当として吹田市の家づくり情報を発信しています。


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