新築住宅の照明計画では、今ではダウンライトを使うことが珍しくありません。

天井がすっきり見える。
照明器具が目立たない。
必要な場所に光を配置しやすい。

こうした理由から、リビングや廊下、洗面室、トイレなど、家のさまざまな場所で使われています。

ところが先日、打合せの中でお客様からこんなご希望がありました。

「ダウンライトを全部やめたい」

理由を聞いてみると、「将来、自分たちで好きな照明器具に交換できるようにしておきたい」とのことでした。これは確かに一理あります。LED照明は長寿命ですが、家は10年、20年、30年と住み続けるもの。照明器具もその間ずっと同じものを使うとは限りません。

この記事の結論

全部ダウンライトにする必要も、全部シーリングライトにする必要もありません。将来の交換しやすさを重視するなら、リビング・ダイニング・寝室など「変えたくなりそうな場所」は引掛シーリングやダクトレールを、廊下や玄関など「すっきり見せたい場所」はダウンライトを、というように部屋ごとに使い分けるのが現実的な答えです。

今回は、「将来、照明を自由に交換したい」という視点から、新築時の照明計画について考えてみたいと思います。

そもそも、なぜダウンライトは簡単に交換できない?

ここを最初に理解しておく必要があります。

現在の住宅でよく使われているダウンライトには、LED光源と照明器具が一体になったタイプがあります。このタイプは、昔の照明のように「電球だけを外して交換する」というものではありません。LED部分が寿命を迎えたり器具が故障したりした場合には、器具そのものを交換することになります。

さらに、天井へ直接配線されているダウンライトの場合、交換には電気工事が必要になります。つまり、「照明が切れたからホームセンターで新しい照明を買ってきて自分で付け替える」という交換方法ではないわけです。

パナソニックも、天井に配線器具が付いていない埋込型のダウンライトについては、取り付けに伴う電気工事を電器店・工事店に依頼するよう案内しています(パナソニック公式:LEDダウンライトの取り付けについて)。

引掛シーリングなら照明器具そのものを交換しやすい

一方、新築時に天井へ「引掛シーリング」や「ローゼット」を設置しておけば、対応する照明器具であれば比較的簡単に交換できます。

例えば、

  • シーリングライト
  • 小型シーリングライト
  • ペンダントライト
  • 一部のスポットライト
  • ダクトレール用アダプター

などです。

パナソニックでも、対応する引掛シーリングが天井にしっかり固定されていれば、電気工事なしでシーリングライトを自分で取り付け・交換できると案内しています(パナソニック公式:LEDシーリングライトの取り付け方法)。

ここが、今回のお客様が重視されていたポイントです。現在選んだ照明器具が10年後に気に入らなくなったとしても、「違うデザインに変えよう」と思ったときに、自分たちで選択しやすい。

インテリアが変わったとき。
子どもが独立したとき。
家具を買い替えたとき。
部屋の使い方が変わったとき。

照明も一緒に変えられます。住宅を長く使うことを考えると、これは確かに大きなメリットです。

ただし「ダウンライト=交換できない」とは限らない

ここは少し注意が必要です。

最近では、LEDランプ部分を交換できるダウンライトもあります。例えばパナソニックには「LEDフラットランプ」という交換型の商品があり、ランプだけを取り外して交換できます(パナソニック公式:LED交換型 フラットランプ対応照明器具)。明るさや光の色、配光などを後から変更できるタイプもあります。

つまり、ダウンライトを採用したら将来必ず器具ごと交換しなければならない、というわけではありません。新築時には、「LED一体型なのか」「ランプ交換型なのか」まで確認しておくことが大切です。

では、ダウンライトを全部やめた方がいい?

私はそこまで単純ではないと思っています。ダウンライトにも明確なメリットがあります。

■ ダウンライトの良いところ
まず、天井面が非常にすっきりします。照明器具が天井から出っ張らないため、特に廊下や玄関、洗面室、トイレなどでは空間をきれいに見せやすくなります。また、複数のダウンライトを配置することで、必要な場所へ光を分散させる照明計画もできます。

■ ダウンライトの気になるところ
一体型の場合には、将来の器具交換に電気工事が必要になる可能性があります。さらに、位置は基本的に固定です。家具の配置を大きく変更して、「もう少しこっちを照らしたい」と思っても、簡単には動かせません。

だから、ダウンライトが良い・悪いではなく、何を優先するかで考えるべきだと思います。

「全部引掛シーリング」にもデメリットはある

では逆に、家中すべてを交換可能な照明にすれば完璧なのでしょうか。これもそうとは限りません。

シーリングライトや小型シーリングライトは器具が天井面に見えるため、ダウンライトほど天井はすっきりしません。器具の形によってはホコリもたまります。ペンダントライトなら、さらに照明器具そのものがインテリアの一部になります。

これはメリットでもありますが、「照明器具を目立たせたくない」という人には向かない場合があります。つまり、交換のしやすさと、天井のすっきり感は、ある程度トレードオフになるということです。

ダクトレールという選択肢もある

将来の変更自由度を高くしたいなら、ダクトレールも選択肢になります。レール対応のスポットライトやペンダントライトなら、位置をずらしたり、器具を追加したり、違う器具へ交換したりできます。

例えばダイニングなら、最初はスポットライト、数年後にインテリアを変えたらペンダントライト、という変更もできます。

ただしダクトレールはレール自体が天井に見えるため、すっきりした天井が好みなら気になることがあります。スポットライトを複数付ければ器具の存在感も出ます。ですから、自由度を優先する場所に使う、という考え方が良いと思います。

部屋ごとに交換方法を変えてもいい

今回の話で一番お伝えしたいのはここです。住宅の照明計画は、「全部ダウンライト」か「全部シーリングライト」の二択ではありません。

例えば、

・リビング:引掛シーリング+必要な場所だけダウンライト
・ダイニング:引掛シーリングやダクトレール+ペンダントライト
・寝室・子ども部屋:引掛シーリング
・廊下・トイレ:交換型ダウンライトまたは小型シーリングライト
・キッチン:作業面をきちんと照らせる照明を優先

というように、場所ごとに考えることができます。

将来交換する可能性が高い場所。照明をインテリアとして楽しみたい場所。逆に、照明器具をできるだけ目立たせたくない場所。それぞれ役割が違います。

「LEDが長持ちするから大丈夫」で決めない

LED照明の寿命は長くなっています。パナソニックの公式情報でも、LEDの光束維持時間は例えば約40,000時間の長寿命と案内されています(パナソニック公式:LEDの寿命とよくある疑問)。

ただ、住宅を建てるときに考えたいのは、「何年もつか」だけではありません。10年後、15年後に、「もっと明るくしたい」「電球色から昼白色に変えたい」「インテリアを変えたから照明も変えたい」「子ども部屋を別の用途に使いたい」と思う可能性があります。

照明器具が壊れていなくても、暮らしの方が変わることがあります。だからこそ、「壊れたときどう交換するか」だけでなく、「暮らしが変わったときどう変更できるか」まで考えておくと、照明計画はかなり変わります。

新築時だからこそ「将来の交換方法」まで考える

正直なところ、今回お客様から、「将来、自分たちで照明を交換したいからダウンライトをやめたい」と言われるまで、照明計画について改めて考えさせられる部分がありました。

新築の打合せでは、「今どの照明が格好いいか」「どこを明るくするか」に目が行きがちです。でも家は何十年も使います。その間に家族構成も、家具も、生活スタイルも変わります。だから、今きれいに見えることと同じくらい、後から変えられることも大切なのかもしれません。

ダウンライトを全部やめる必要はないと思います。逆に、すべてダウンライトにする必要もありません。新築の照明計画では、「この場所の照明は10年後、どうやって交換する?」一度そんな視点でも考えてみてください。照明器具の選び方が、少し変わって見えるかもしれません。

よくある質問

Q. 新築でダウンライトは全部やめるべき?
A. やめる必要はありません。天井をすっきり見せたい場所(廊下・玄関・洗面室など)ではダウンライトにメリットがあります。将来交換したくなりそうな場所だけ、引掛シーリングやダクトレールにしておくのが現実的です。

Q. LED一体型ダウンライトと交換型ダウンライトの違いは?
A. LED一体型は光源と器具が一体化しており、寿命が来ると器具ごと交換になります。交換型(LEDフラットランプなど)はランプ部分だけを交換でき、明るさや光色を後から変更できるものもあります。

Q. 引掛シーリングがあれば必ず電気工事なしで交換できる?
A. 天井の引掛シーリングがしっかり固定されていれば、対応する照明器具は電気工事なしで自分で取り付け・交換できます。引掛シーリングがない場合や特殊な配線器具の場合は、電気工事が必要になります。

Q. ダウンライトの寿命はどれくらい?
A. LEDの光束維持時間は目安として約40,000時間とされています。ただし、寿命よりも先に「インテリアや暮らしの変化で交換したくなる」ケースも多いため、交換のしやすさもあわせて考えておくのがおすすめです。

今 利之(こん・としゆき)
アイワホーム株式会社 マーケティングディレクター
2005年入社、吹田の地で21年。新築営業・リフォーム・メンテナンス、賃貸、工事部門など、現場の最前線で歩んできました。


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