「ニッチって、大きめにしておいた方が使いやすいですよね?」
注文住宅の打ち合わせをしていると、こうした話になることがあります。確かに、小さすぎて物が入らないよりは、大きい方が使いやすそうに感じます。でも実際に設計していると、ニッチは大きければ大きいほど使いやすい、というものではありません。
先日も、インターホンや給湯器リモコン、照明スイッチなどをまとめて配置するニッチの寸法を検討していました。
最初は有効幅350mmで考え、その後400mmへ変更。最終的にはお客様のご希望もあり、幅500mmで設計することになりました。
「じゃあ最初から500mmにしておけばよかったのでは?」
と思われるかもしれません。でも、そう単純ではないんです。今回は、ニッチの幅・高さ・奥行きを実際にどう考えているのか。住宅を設計する側の目線から、できるだけ分かりやすくお話しします。
この記事でお伝えしたいこと
- 「何cmにするか」ではなく「ここで何をしたいか」から始めるニッチ設計
- リモコンニッチにおける機器外形寸法と「操作・交換・見映え」のための余白
- 壁全体のデザインバランスと「奥行き」にかかわる壁体内構造・配線・防湿層
- 耐火構造認定や外壁側施工の注意点と仕上がり寸法(内寸)の確認ミス防止
- エスタコウォール(塗り壁)仕上げの魅力とメンテナンス性から考える素材選定
そもそも「ニッチのおすすめサイズ」はある?
ネットでニッチについて調べると、
- 「幅30cmくらい」
- 「奥行き8~10cmくらい」
- 「リモコンニッチなら幅40~50cm」
といった数字を見かけます。こうした寸法は参考にはなりますが、私はニッチだけ先に何cmと決めるのはおすすめしません。なぜなら、同じニッチでも用途がまったく違うからです。
写真や小物を飾る。インターホンや給湯器リモコンをまとめる。玄関で鍵を置く。トイレで収納として使う。スマートフォンの充電場所にする。目的が違えば、必要な幅も高さも奥行きも変わります。
ですから、最初に考えるべきなのは、「ニッチを何cmにするか」ではなく、「ここで何をしたいか」です。
幅は「物が入ればOK」ではない
今回検討したリモコンニッチには、
- インターホン
- 給湯器リモコン
- 照明スイッチ
- 電動シャッターのリモコン
などを配置する予定でした。これらの機器には当然、それぞれ外形寸法があります。
そこで図面上に並べてみると、350mmでも配置自体は考えられます。でも設計では、「入る」と「使いやすい」は別です。機器とニッチの端がギリギリでは窮屈に見えますし、ボタン操作もしづらくなります。機器によってはカバーを開けたり、本体を取り外したりすることもあります。
Panasonicのテレビドアホンを見ても、ある製品の親機は高さ約186mm×幅143mm×奥行23.5mm。一方で別機種では高さ169mm×幅129mm×奥行29mmなど、機種によって外形寸法が異なります。つまり、現在採用する機器がぴったり納まる寸法だけで設計すると、将来交換するときに選択肢を狭める可能性もあります。
そこで必要になるのが余白です。見た目のためだけではありません。操作するための余白、取り外すための余白、将来機種が変わったときの余白。こうしたことまで考えて幅を決めます。
350mm、400mm、500mm。どれが正解?
今回の設計では、最初に有効幅350mmで検討しました。その後、400mmへ広げて再検討。最終的には500mmになりました。では、「リモコンニッチは500mmがおすすめです」ということなのか。これは違います。
今回500mmになったのは、設置する機器の数や大きさ、配置、周囲の壁とのバランス、そして仕上がったときの見え方を考えた結果です。たとえば機器がインターホンと給湯器リモコンだけなら、同じ500mmが必要とは限りません。逆に、照明スイッチや太陽光・蓄電池などのモニターまでまとめたいとなれば、500mmでも足りない可能性があります。
大切なのは、ニッチのサイズを先に決めて、その中に物を入れるのではなく、入れる物からニッチのサイズを逆算すること。これはかなり重要です。
大きなニッチなら、きれいに見えるとも限らない
もう一つ、大きさを考えるときに忘れてはいけないのが壁全体とのバランスです。
たとえば幅900mm程度の壁の中央に、小さなニッチを設ける場合と、壁いっぱいに近いニッチを設ける場合では印象がまったく違います。ニッチ単体の寸法だけを見ていると気付きにくいのですが、完成すると目に入るのは「ニッチ」ではなく壁全体です。
しかも、大きくしたことで中の余白が増えすぎると、「何か置いた方がいいのかな?」と、かえって間延びして見えることもあります。飾り棚として使うニッチなら、余白そのものがデザインになります。一方、リモコン類をまとめる設備ニッチなら、機器と余白のバランスが重要です。同じ「余白」でも意味が違うわけです。
実は難しいのが「奥行き」
幅や高さは図面を見ながらイメージしやすいのですが、ニッチで意外と難しいのが奥行きです。「もっと深くした方が物を置きやすいのでは?」と思われるかもしれません。
ところが、壁の中は空洞ではありません。一般的な木造住宅の壁には、柱や間柱、石膏ボード、下地、断熱材、配線などがあります。リモコンやスイッチを設置するなら、その後ろには配線や取付部材も必要です。
Panasonicでも、一部のスイッチについて、電線を収納するため取付部に42mm以上の奥行きを確保するよう施工条件を定めています。器具の表面に見えている厚みだけを見ればよいわけではないことが分かります。つまり、「壁がこれだけ厚いから、これだけ掘れる」という単純な計算では決められません。
その壁、本当にニッチを作って大丈夫?
これも打ち合わせ段階ではなかなか分からないところです。「ここの壁にニッチが欲しい」と思っても、どの壁でも自由に作れるとは限りません。壁の中には柱や筋交い、構造用の面材、設備配管などが入ることがあります。
また、耐火・準耐火性能を求められる壁では、単純に壁をくぼませればよいわけでもありません。吉野石膏も、壁そのものの耐火・準耐火構造としての認定と、コンセントやスイッチなど開口部に対応した認定は別に確認が必要だと案内しており、開口部専用に認定を取得した製品も用意されています。壁の性能と開口部の性能は、それぞれ別に確認しておく必要があるということです。
さらに外壁側の場合は、断熱の納まりにも注意が必要です。国土交通省の住宅省エネルギー関連資料でも、内部結露を防ぐためには、断熱層の室内側に防湿層を設け、壁体内への湿気の侵入を抑えることが重要とされています。ですから、「外壁だから絶対にニッチを作れない」でもなければ、「壁があるからどこでも作れる」でもありません。どんな壁なのかを確認してから決める必要があります。
高さは「きれいに見える高さ」だけで決めない
ニッチの高さについても同じです。飾り棚なら、目に入りやすい高さ。鍵置きなら、帰宅して自然に手を伸ばせる高さ。リモコンニッチなら、画面を見て操作しやすい高さ。ベッド横なら、寝た状態から届く高さ。用途によって正解が変わります。
特にインターホンは「見る」「押す」という操作があります。図面上で壁の中央に配置するときれいでも、実際に立って操作すると少し高い、あるいは低いということがあります。私はこういう部分こそ、図面だけで考えず、「ここに立ったとき、実際にどう使うか」を想像することが大切だと思っています。家族によって身長も違います。毎日使うものなら、数cmの違いが意外と気になるものです。
「幅500mm」の500mmは、どこの寸法?
これも意外な落とし穴です。図面に「W500」と書いてあったとしても、
- 下地の開口が500mmなのか。
- 仕上がった内側の有効寸法が500mmなのか。
- 枠を含めて500mmなのか。
意味によって完成寸法は変わります。特にニッチに木枠やカウンター材を付ける場合、材料の厚み分だけ有効寸法は小さくなります。ですから打ち合わせでは、完成したときに実際に使える内寸が何mmになるのかまで確認しておくと安心です。
クロスだけではない。仕上げによってニッチの表情も変わる
ニッチを考えるとき、サイズと同じくらい面白いのが仕上げです。一般的には壁紙を巻き込んで仕上げる方法がありますが、アイワホームでは3部屋にエスタコウォール(しっくい)を標準採用しています。そのため、ニッチも必ずしもクロス仕上げとは限りません。
エスタコウォールは大理石を主原料とした塗り壁材で、メーカーによると内装ではプラスターボードへ施工できる材料です。塗り壁でニッチを仕上げると、奥行き部分や角に陰影が生まれ、クロスとはまた違った表情になります。
一方で、ニッチは物を置いたり手で触れたりする場所でもあります。特に底面を日常的な物置きとして使うのであれば、カウンター材を入れる方法も考えられます。エスタコウォールについても、メーカーは手垢などの軽い汚れ、小さな欠けや割れに対するメンテナンス方法を案内しています。ですから、「ニッチを何cmにするか」だけでなく、「どんな仕上げにして、どう使うか」まで一緒に考えた方がいいと思います。
大きくする前に、一度「何を置くか」を書き出してみる
ニッチの打ち合わせをするなら、私はまず入れる物を書き出してみることをおすすめします。たとえばリモコンニッチなら、
インターホンはここ。
給湯器リモコンはここ。
照明スイッチはここ。
では、その間を何cm空ける?
将来機器が少し大きくなっても大丈夫?
ニッチの周囲に漆喰やアクセントクロスを見せたい?
ここまで考えて初めて「幅」が決まります。収納ニッチなら、収納したい物の実寸を測る。飾りニッチなら、置きたい物だけでなく、その周囲にどの程度余白を残すときれいに見えるか考える。これだけでも失敗はかなり減るはずです。
ニッチは「大きさ」より「理由」が大切
今回、幅350mmから始まり、400mmを経て、最終的に500mmで設計しました。だからといって、「500mmがベストだった」という話ではありません。今回の家、この場所、この機器、この使い方を考えた結果が500mmだった、ということです。
住宅の打ち合わせをしていると、「一般的には何cmですか?」と聞かれることがよくあります。もちろん目安はあります。ただ、家づくりでは一般的な数字以上に、「なぜその寸法にしたのか」が大切だと私は思っています。
ニッチも同じです。大きければ便利とは限らない。小さければすっきりするとも限らない。使う物、家族、壁の構造、仕上げ、そして周囲とのバランス。それらを一つずつ考えていくと、その家にちょうどいいサイズが見えてきます。
せっかく自由に考えられる注文住宅です。「ニッチを作りたい」で終わらず、そこで何をしている自分たちの姿を想像してみる。それが、完成してから使いやすいニッチをつくる一番の近道なのかもしれません。
よくある質問
Q. ニッチの一般的な奥行きは何cmですか?
A. 壁厚を利用するニッチでは深い収納のような奥行きは取りにくく、壁の構造によって確保できる寸法が変わります。置きたい物の寸法から必要な奥行きを考え、その壁で施工可能か設計担当者に確認するのがおすすめです。
Q. リモコンニッチは幅何cmあればいいですか?
A. 一律のおすすめ寸法はありません。インターホン、給湯器リモコン、照明スイッチなど、入れる機器の実寸と数を確認し、操作や将来交換のための余白を含めて決めます。
Q. ニッチは大きい方が使いやすいですか?
A. 収納量だけを考えれば大きい方が有利ですが、大きすぎると壁とのバランスが悪くなったり、余白が間延びして見えたりする場合があります。「何を入れるか」から必要寸法を決めるのがおすすめです。
Q. 外壁側にもニッチは作れますか?
A. 住宅の断熱方法や構造、配線・配管などによって異なります。外壁側は断熱材や防湿層との納まりも関係するため、設計段階で確認する必要があります。
Q. ニッチにはクロス以外も使えますか?
A. 可能です。クロス、塗り壁、木、タイル、カウンター材など、用途やデザインに応じた仕上げが考えられます。アイワホームではエスタコウォール(しっくい)を3部屋標準採用しているため、塗り壁ならではのニッチを計画することもできます。
Q. ニッチを作る場所は自由に選べますか?
A. どこでも自由に作れるわけではありません。柱や筋交い、構造用面材、配管、配線、断熱材など、壁の中に入るものとの関係があります。希望する場所がある場合は、できるだけ早い段階で設計担当者へ伝えておくのがおすすめです。
今 利之(こん・としゆき)
アイワホーム株式会社 マーケティングディレクター
2005年入社、吹田の地で21年。新築営業・リフォーム・メンテナンス、賃貸、工事部門など、現場の最前線で歩んできました。
■ 1日でも早く、理想の暮らしへ 🏃♀️☁️
好条件の物件は、検討される方が重なる傾向にあります。
「まずは話を聞いてみたい」という気軽な気持ちで、一歩踏み出してみませんか?
【公式LINEで気軽に相談】
物件の詳細や、内覧のご予約はLINEが一番スムーズです。
👉 https://lin.ee/HTvVmlL
【アイワホーム公式サイト】
施工事例を見て、新しい暮らしのイメージを膨らませてください。
👉 https://aiwahome.com/
■ 吹田の「今」をチェック!
吹田を愛する私たちが運営する、地元の耳寄り情報サイトです。
吹チャン!: https://suichan.jp/ 📢
■ 公式SNSでルームツアー公開中 🎥
Instagram: https://www.instagram.com/aiwahomesuita/
YouTube: https://www.youtube.com/channel/UC4TWLt5U3X3ls6mDPsYIY8A
アイワホーム株式会社
本社:大阪府吹田市高浜町9-9 アイワステーションビルⅤ号館
※吹田市での家づくり、土地探しなら地域密着の私たちにお任せください。
