家づくりのご相談を受けていると、
「LDKは何帖ありますか」
「収納はどれくらい取れますか」
「部屋数はいくつになりますか」
というご質問は本当によくいただきます。

その一方で、階段の上りやすさまで気にされる方は、正直なところそれほど多くありません。

階段は、LDKのように広さをアピールできる場所でもなければ、収納のように「これだけ入ります」と数字で説明しやすい場所でもないからだと思います。むしろ床面積だけで考えれば、階段はコンパクトにした方が効率的です。

それでも私たちアイワホームでは、できる限り緩やかな勾配の階段をつくることを基本にしています。なぜ、そこまで階段にこだわるのか。今日はその理由をお話しします。

この記事でお伝えしたいこと

  • きっかけは創業当初の中古住宅ご案内での転倒事故
  • 図面上の有効面積(LDK・収納)と階段スペースのトレードオフ
  • 現場で数多く目にしてきた「急勾配な階段」で暮らすリアルな負担
  • 吹田市に多い3階建て住宅において階段が「生活動線そのもの」になる理由
  • 「面積で損をしても暮らしで得をする」アイワホームの設計哲学

きっかけは、会長がご案内していた中古住宅での出来事でした

アイワホームの創業当初、会長がお客様を中古住宅へご案内していたときのことだそうです。

その住宅には、昔の家によく見られる急勾配の階段がありました。そこでお客様が階段から足を踏み外し、けがをされてしまったといいます。

その経験から会長は、「自分たちがつくる家では、できる限りこんな急な階段にはしない」と考えるようになりました。

それ以来アイワホームでは、階段の上り下りのしやすさを大切にしています。流行だからでも、見た目のためでもありません。一度起きた事故をきっかけに生まれた、家づくりに対する考え方です。

有効面積だけ見れば、階段は急な方が「得」に見えます

ここから少し、家をつくる側の話をさせてください。

階段を緩やかにしようとすると、その分だけ階段に必要な長さが増えます。つまり同じ建物面積であれば、緩やかな階段ほど、ほかの部屋に使える面積は減ります。

逆に勾配をきつくして階段をコンパクトにすれば、その分をLDKや収納、居室に回すことができます。図面上の「有効面積」だけを見れば、急な階段の方が合理的とも言えるのです。

1帖でもLDKを広くしたい。少しでも収納を増やしたい。限られた敷地の中で、できるだけ多くの部屋を確保したい。そう考えれば、階段はなるべく小さくしたくなる気持ちも、よくわかります。

でも私たちは、そこで一度立ち止まって考えます。その1帖と、これから何十年も毎日使う階段の上り下り。どちらを優先するのか。

家づくりでは、面積を最大化することと、暮らしやすさを最大化することが、必ずしも同じ方向を向いているとは限りません。

現場で見てきた「急な階段」のリアル

私はもともと新築営業だけでなく、リフォームやメンテナンス、工事の現場にも携わってきました。中古住宅の調査や工事の立ち会いで、実際に急勾配の階段を数え切れないほど見てきました。

蹴上げが高く、踏面が狭い階段。手すりもなく、上りきる手前で急に折れ曲がっている階段。

そうした階段のあるお宅にお邪魔すると、そこで暮らすご家族が階段の使い方に無意識のうちに気を遣っている様子がよくわかります。

荷物を持つときは片手を必ず手すりに添える。夜中に上り下りするときは電気を必ずつける。小さなお子さんやご高齢の方がいるご家庭では、なおさらです。

そうした光景を何度も見てきたからこそ、「階段の勾配は暮らしに直結する」という会長の考え方に、現場側の人間として強く納得してきました。

3階建てが多いからこそ、階段は「生活動線そのもの」

特にアイワホームでは、吹田市という土地柄もあり、3階建ての住宅を建てる機会が多くあります。

3階建てになると、階段は単なる「上下階をつなぐ場所」ではなくなります。ほとんど生活動線そのものです。

  • 1階から2階のLDKへ上がる。
  • 3階の寝室へ行く。
  • 洗濯物を持って移動する。
  • 買い物袋を持って上がる。
  • 忘れ物を取りに行く。
  • 子どもを抱っこして移動する。

一日の中で、何度も階段を上り下りすることになります。1回だけなら、少しくらい急な階段でも気にならないかもしれません。でも、それが毎日、何年、何十年と続きます。

3階建てだからこそ私たちは、階段を「できるだけ小さく納める場所」ではなく、毎日気持ちよく使える生活動線として考えたいと思っています。

「何か上りやすい」と感じてもらえる階段

アイワホームの階段について、数字だけで説明することもできます。勾配や踏面、蹴上げなどを比較すれば、一般的な階段との違いを数値上で示すことは可能です。

でも実際には、数字を見てもその違いはなかなか想像しにくいものです。階段は、体で感じるものだからです。

アイワホームのゆるやか階段と一般的な階段の勾配・蹴上げ・踏面比較
アイワホームの「ゆるやか階段(勾配38度)」と一般的な階段(勾配45度)の寸法比較

実際にアイワホームの家で階段を上っていただくと、「何か上りやすいですね」と言っていただくことがあります。

小さなお子さんでも、成長や個人差はありますが、大人が見守る中で一段ずつ自分で上り下りしようとする姿をよく見かけます。もちろん、1歳や2歳のお子さんが階段を使う際には大人の見守りが必要ですし、どれだけ緩やかな階段でも、年齢や身体状況によって負担の感じ方は異なります。

それでも、階段の緩やかさは数字以上に日々の動作に表れるものだと感じています。

良い階段ほど、暮らし始めると気にならなくなる

少し不思議な話ですが、階段が上りやすいことは、毎日暮らしていると次第に「普通」になっていきます。毎朝、「今日もこの階段は上りやすくてありがたい」と思いながら上る方は、おそらくほとんどいません。

でも、旅行先や実家、古い住宅などで急な階段を上ったときに、「家の階段って、こんなに楽だったんだ」と気づくことがあります。

住宅には、こうした普段は意識しない快適さがあります。毎日ストレスを感じない。怖さを感じにくい。荷物を持っていても上り下りしやすい。それは目立つ設備ではありませんが、何十年という暮らしの中では大きな違いになります。

「部屋ではない面積」は、本当にムダなのか

家の床面積には限りがあります。だからこそ、「できるだけ廊下をなくそう」「階段をコンパクトにしよう」といった考え方もあります。もちろん、無意味に面積を使う必要はありません。

ただ私たちは、部屋として使えない面積=ムダ とは考えていません。

階段も廊下も、そこで長時間過ごす場所ではありません。それでも、毎日の暮らしを支えている大切な場所です。階段に少し面積を使うことで、安全性や上り下りのしやすさが得られるのであれば、その面積には意味がある。私たちはそう考えています。

言い換えれば、面積では少し損をしても、暮らしでは得をする。そんな考え方です。

ただし、すべての家で同じ階段にできるわけではありません

アイワホームでは、緩やかな階段を基本としています。ただし、すべての土地・すべての建物で同じ階段計画ができるわけではありません。

例えば、斜線制限などの影響で階高を抑える必要がある場合。あるいは、かなりの狭小地で標準的な階段スペースを確保することが難しい場合。こうしたケースでは、建物全体のバランスを見ながら個別に階段計画を考えます。

大切なのは、「何が何でも同じ仕様にすること」ではなく、「できる限り上り下りしやすい階段をつくる」という考え方を持つことだと思っています。

階段は、図面を見るだけでは分かりません

これから家を見学する機会があれば、ぜひ階段にも注目してみてください。ただし、寸法を測る必要はありません。一度、普通に上って、普通に下りてみてください。

そのとき、「あれ、何か上りやすいな」と感じるかどうか。それが、図面や数字だけでは分からない階段の違いです。

LDKの広さや収納量のように目立つ部分ではありません。でも特に3階建ての家では、階段は毎日の暮らしの一部になります。

だから私たちアイワホームでは、限られた床面積の中でも、階段をただ小さくするのではなく、毎日の上り下りまで含めて家を設計することを大切にしています。

家づくりで見るべきなのは、「何帖取れたか」だけではありません。その面積を使って、どんな毎日をつくるのか。階段もまた、その一つだと思います。

今 利之(こん・としゆき)
アイワホーム株式会社 マーケティングディレクター
2005年入社、吹田の地で21年。新築営業・リフォーム・メンテナンス、賃貸、工事部門など、現場の最前線で歩んできました。


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アイワホーム株式会社
本社:大阪府吹田市高浜町9-9 アイワステーションビルⅤ号館
フリーダイヤル:0120-359-395
※創業36年、吹田の地で家族の暮らしに寄り添う住まいづくりを。暮らしやすさは、目に見えない場所にこそ宿ります。

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