マイホームの間取りを考えるとき、「お風呂には窓を付けたい」そう思う方は多いのではないでしょうか。
戸建住宅の図面を見ても、浴室の外壁側には小さな窓が付いていることがよくあります。私たちアイワホームでも、基本的には浴室に窓を設ける設計をしています。
ところが、あるときふと思ったんです。
お風呂の窓って、本当に必要なのでしょうか?
もちろん、「いらない」と言いたいわけではありません。今回お伝えしたいのは、「付けるのが正解」「付けないのが正解」と決める前に、そもそも何のために浴室へ窓を付けるのか、一度考えてみようという話です。
この記事でお伝えしたいこと
- 賃貸住宅(窓なし浴室)からの住み替えが約6割というデータと生活実感
- 建築基準法における居室規定と浴室窓の法的義務(必須ではない)の整理
- 主要設備メーカー(TOTO・Panasonic・LIXIL)が推奨する「換気扇使用時は窓を閉める」理由
- 窓を付けることで増える負担(サッシ枠・網戸の掃除、視線対策、断熱欠損、防犯面)
- 「戸建てだから普通」ではなく生活時間や目的に合わせた浴室窓の要否判断
今住んでいるお風呂に、窓はありますか?
まず、マイホームを検討している方に一つ質問です。
今住んでいる家のお風呂に、窓はありますか?
アイワホームでマイホームを購入されるお客様も、購入前は賃貸マンションに住んでいる方が多くいらっしゃいます。賃貸マンションでは、間取りの構成上、浴室が建物の外壁に面しておらず、窓のない浴室も珍しくありません。
これはアイワホームだけの特殊な傾向ではなく、国のデータにも表れています。国土交通省の「令和7年度住宅市場動向調査」を見ると、住宅を取得した世帯の住み替え前の住宅は、すべての住宅種類で「民間賃貸住宅」が最も多くなっています。注文住宅では59.0%、分譲戸建住宅でも57.4%が、住み替え前は民間賃貸住宅でした。
つまり、マイホームを買う多くの人が、「賃貸での暮らし」から「自分たちの戸建住宅」へ移るということです。
そこで改めて考えてみたいのです。今住んでいる賃貸のお風呂に窓がないとして、窓がないことで、実際どれくらい困っていますか?ここが今回の出発点です。
なぜ戸建てになると「お風呂に窓が欲しい」と思うのだろう?
現在の賃貸住宅では浴室に窓がなくても普通に生活している。ところが新築住宅の打ち合わせになると、
- 「せっかく戸建てだから窓が欲しい」
- 「窓がないと湿気がこもりそう」
- 「窓がないと暗そう」
- 「戸建てのお風呂なら普通は窓があるでしょう」
となることがあります。
もちろん、それ自体は何もおかしなことではありません。マイホームなのですから、今の賃貸にはないものを取り入れたいという気持ちも当然です。
ただ、「戸建てだから」「普通は付いているから」だけで決めるのではなく、一度、「その窓を何のために付けるのか?」まで考えてみる価値はあると思います。
そもそも浴室に窓を付けなければいけないの?
少し法律の話もしておきましょう。
住宅のリビングや寝室などの「居室」には、建築基準法上、一定の採光や換気に関する規定があります。一方、建築基準法の解釈上、住宅の浴室・トイレ・玄関・階段などは、居住のために継続的に使用する「居室」には原則として該当しないと整理されています。
つまり、「住宅の浴室だから、採光のために必ず窓を付けなければならない」というルールではありません。窓のない浴室も、普通に成立します。だからこそ、浴室窓は「法律上必要だから付けるもの」ではなく、「暮らしのために選ぶもの」と考えることができます。
浴室窓には、もちろん良いところがある
では、窓があるメリットから考えてみましょう。
一番分かりやすいのは、自然光です。昼間に浴室へ入れば、照明を付けなくても明るい。休日の昼間にお風呂へ入るのが好きな方なら、自然光の入る浴室は気持ちがいいはずです。
立地や設計条件によっては、外の景色や庭を眺められる浴室もつくれます。坪庭などを計画できれば、窓は単なる採光設備ではなく、「お風呂でどう過ごすか」を豊かにする設備になります。
また、窓を開ければ自然換気もできます。こう考えると、浴室窓には十分なメリットがあります。だから私たちアイワホームでも、基本的には浴室に窓を設けています。
ただし問題は、そのメリットを、自分たちの暮らしで本当に使うかどうかです。
お風呂に入るのは、何時ですか?
例えば、共働きの家庭を考えてみます。朝、家を出る。仕事や学校から帰ってくる。夕食を食べる。そして夜、お風呂に入る。
この生活なら、浴室を使う時間帯はほとんど夜です。すると、浴室窓の大きなメリットである自然光は、平日はほとんど使いません。休日も昼間は買い物やレジャーで外出している家庭なら、なおさらです。
一方、
- 朝にシャワーを浴びることが多い
- 休日は昼風呂を楽しみたい
- 浴室から庭を眺めたい
そんな暮らしなら、窓の価値は大きくなります。同じ窓なのに、その家族の生活時間によって、価値がまったく違う。ここが住宅設備のおもしろいところです。
「換気のために窓が必要」は本当?
浴室に窓を希望する理由として、よくありそうなのが、「湿気を逃がしたい」「窓がないとカビそう」というものです。確かに、昔の住宅では窓を開けて換気することの意味は非常に大きかったと思います。
ただ、現在の住宅は事情が違います。2003年7月に施行された建築基準法のシックハウス対策以降、居室を有する住宅には原則として機械換気設備の設置が必要となり、住宅では一般に換気回数0.5回/時以上の換気設備、いわゆる24時間換気システムが設けられています。
もちろん、24時間換気システムの方式と浴室換気扇の役割は住宅によって異なります。ただ、少なくとも現代の住宅では、「窓を開けなければ浴室を換気できない」という設計ではありません。
むしろ、ここには少し意外な話があります。
換気扇を回すときは、むしろ窓を閉める?
TOTOは、浴室換気暖房乾燥機で換気運転をする場合、浴室内の空気を効率よく排気するため、浴室に窓がある場合は窓を閉めるよう案内しています。
Panasonicも、効果的に浴室を換気する方法として、換気扇を運転し、窓と浴室の扉を閉めることを案内しています。浴室ドアのガラリなどから空気を取り入れ、換気扇へ流す考え方です。
つまり、「換気したいから窓を開ける」が、機械換気を使う場合には必ずしも効率的とは限りません。窓を開けると、窓から入った空気がそのまま天井の換気扇へ抜け、浴室全体に十分な空気の流れができにくくなる場合があります。LIXILも同様に、入浴後は浴室のドアをしっかり閉めてから換気扇を運転することを案内しています。
もちろん、製品によって換気方法は異なるので、実際には使用する設備の取扱説明書に従う必要があります。それでも、「浴室の換気=窓を開ける」ではないというのは、知っておいてよいと思います。
「窓がないとカビる」わけでもない
では、カビについてはどうでしょう。浴室は水を大量に使う場所なので、湿気が残ればカビや雑菌が繁殖しやすくなります。入浴後の浴室は湿度が90%を超えることもあり、その状態を放置すればカビの温床になります。
重要なのは、窓があるかどうかだけではなく、浴室をどれだけ早く乾燥させられるかです。
- 入浴後に換気する
- 浴槽にお湯を残すならフタをする
- 壁や天井に飛び散った泡や皮脂汚れをシャワーで流す
- 換気設備を適切に使う
こうした使い方の方が重要です。ですから、「窓あり=カビない」「窓なし=カビる」と単純には言えません。窓があっても湿った状態を長時間放置すればカビは発生しますし、窓がなくても適切に換気・乾燥できれば浴室は使えます。実際、今住んでいる賃貸マンションのお風呂を思い浮かべると、これが分かりやすいのではないでしょうか。
窓を付けると「増えるもの」もある
窓はメリットを増やします。一方で、窓を一つ付ければ、それによって増えるものもあります。
例えば掃除。ガラスだけではありません。サッシの枠、窓まわり、網戸など、掃除する場所が増えます。浴室は水滴や石けん成分などが付着しやすい場所なので、「住んでみたら、浴室窓を一度も開けないのに掃除だけはしている」ということもあり得ます。
次に視線。吹田市のような都市部では、隣家との距離が近い住宅も多くあります。せっかく窓を付けても、型板ガラスにする、目隠しを付ける、ずっと閉めておく、という使い方になることもあります。もちろん、それでも自然光は入ります。ただ、「開放感のために付けたはずの窓が、本当に開放感につながっているのか」は考えてみてもいいでしょう。1階の浴室なら、防犯についても一緒に考える必要があります。
断熱という意味では、窓を付けない方が有利
もう一つが断熱です。住宅の外皮には、壁・屋根・床・窓などがあります。窓などの開口部は、一般に熱損失が生じやすい部分とされています。
現在はLow-E複層ガラスなど高性能な窓が普及しているので、「浴室に窓を付けたら必ず寒い」というほど単純な話ではありません。窓の大きさや仕様によっても違います。それでも、同じ条件なら、外壁だけの部分と、窓という開口部がある部分では、窓がない方が断熱計画上は有利です。
特に浴室は裸になる場所です。冬場の快適性を重視するなら、浴室窓を付けるメリットと合わせて考える価値があります。
だから「浴室窓はいらない」という話ではありません
ここまで読むと、「じゃあアイワホームも浴室の窓をなくした方がいいのでは?」と思われるかもしれません。そういう話でもありません。
私たちアイワホームでも、基本的には浴室に窓を付けています。窓には、自然光が入る、外気を取り入れられる、開放感が生まれる、といった、窓にしかない良さがあります。
一方で、断熱、掃除、視線、防犯、費用といったことも考える必要があります。つまり、浴室窓にはメリットもデメリットもある。当たり前ですが、結局ここに戻ってきます。
大事なのは「付けるか」ではなく「何のために付けるか」
住宅の打ち合わせでは、「窓を付けますか?」という話になりがちです。でも本当は、その前に聞いた方がいいことがあります。
「その窓で、何をしたいですか?」
昼間のお風呂を明るくしたい。朝シャワーのとき自然光が欲しい。庭を眺めたい。窓を開けて外の空気を感じたい。そうした目的があるなら、窓を付ける意味があります。
逆に、
- 今の賃貸でも窓がなくて困っていない
- 入浴するのはほとんど夜
- 窓はおそらく開けない
- 掃除を少しでも減らしたい
- 断熱性や防犯性を優先したい
そんな家庭なら、「浴室に窓を付けない」という選択肢を考えてもいいのだと思います。
「新築だから付ける」を、一度だけ疑ってみる
マイホームを建てるときは、今の賃貸にはなかったものを、いろいろ付けたくなります。広い収納。大きな窓。便利な住宅設備。そして浴室の窓。
もちろん、それによって暮らしが良くなるなら、付ける価値があります。でも、「戸建てなら普通だから」「せっかく新築だから」「あった方が良さそうだから」だけで決める必要はありません。今の暮らしを振り返ってみてください。今のお風呂に窓はありますか?
もしなければ、窓がないことで、何に困っていますか?
その答えが「特に困っていない」なら、それも新しい家づくりを考えるための立派なヒントです。反対に、「明るいお風呂にずっと憧れていた」なら、それも窓を付ける十分な理由です。
浴室に窓がある家と、窓がない家。どちらが正解という話ではありません。自分たちの暮らしにとって、「なぜ付けるのか」「なぜ付けないのか」に理由があること。それが、その家にとっての正解なのだと思います。
今 利之(こん・としゆき)
アイワホーム株式会社 マーケティングディレクター
2005年入社、吹田の地で21年。新築営業・リフォーム・メンテナンス、賃貸、工事部門など、現場の最前線で歩んできました。
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※創業36年、吹田の地で家族の暮らしに寄り添う住まいづくりを。吹田の暮らしに、いちばん近い住宅会社でありたい。
