私、今利之は、2005年にアイワホームへ入社して以来、21年にわたってリフォーム、賃貸、注文住宅と、いろいろな現場で「原材料価格」と付き合ってきました。この21年間、現場で価格変動の波を肌で感じてきましたので、ウッドショックのときも、コロナ禍の物流混乱のときも、正直「今度こそ落ち着いてほしい」と何度も思いました。
そして今回もまた、中東情勢の再悪化を受けて、住宅業界には緊張が走っています。
「また建材が不足するのではないか」
「家の価格がさらに上がるのではないか」
こうしたお問い合わせを、吹田で家づくりをご検討中のお客様からも実際にいただいています。
ただ、2026年7月25日に政府から示された最新情報を見る限り、少なくとも現時点では、「原料が足りなくなり、建材が作れなくなる」という短期的な供給途絶リスクは後退していると、私は見ています。
一方で、ここで一つ注意していただきたいことがあります。「供給できる」ことと「価格が上がらない」ことは、まったく別の話だということです。私たちアイワホームが今、警戒すべきポイントも、少し変わってきていると感じています。
この記事でお伝えしたいこと
- 建材不足より「建材価格の上昇」を警戒する局面へ移行した理由
- 7月・8月の原油調達にめど(前年平月比約10割調達)と代替調達の成果
- ナフサ由来の製品(塩ビ管・断熱材等)も「年度を越えて供給可能」な見通し
- 「原料不足」と「建材値上がり(物流費・運賃高騰等)」を分けて考える重要性
- 今後の住宅価格の見通しと吹田での家づくりにおける心構え
結論:建材不足より「建材価格の上昇」を警戒する局面へ
先に私の結論をお伝えします。2026年7月時点の日本の原油・ナフサをめぐる状況は、原料不足によって住宅建材の生産が止まるリスクは後退している一方、原油価格や物流費などを通じた建材価格上昇リスクは残っているというのが、実感に近い状況です。
「ナフサがなくなって塩ビ管や断熱材が入ってこない」という事態を、今すぐ心配する必要性は低くなってきたと思います。ただし、「だから住宅価格への影響もなくなった」と考えるのは、まだ早いというのが私の正直な感覚です。
7月・8月の原油調達にめど。国家備蓄の追加放出も見送り
7月25日、高市首相は自身のXを通じて、中東情勢が再び不安定化する中でも、日本の原油調達について改善が進んでいることを明らかにしました。7月については、国家備蓄の追加放出に頼ることなく、前年平月比で約10割の原油を調達できる見通し。さらに8月についても、前年平月比約10割の調達にめどが立ったとのことです。
これは、突然状況が良くなったわけではありません。政府はこれまで、ホルムズ海峡を経由しない原油調達を増やすため、米国をはじめ、中南米、アジア太平洋、中央アジア、アフリカなどへ調達先を分散してきました。6月11日の関係閣僚会議の時点ですでに、6月は前年平月比約8割、7月には約10割まで原油調達を回復できる見通しが示されていたことも、私は資料で確認しています。
つまり今回の発表は、中東情勢が再び不安定になる中でも、日本の代替調達体制が現時点では維持されていることが確認されたという点で、住宅業界にとっても重要なニュースだと感じています。
ナフサ由来の製品も「年度を越えて供給可能」
私達住宅業界にとって、原油以上に気になるのが「ナフサ」です。ナフサは石油化学製品の重要な原料であり、住宅に使われるさまざまな材料にも関わっています。塩ビ管、断熱材、塗料、接着剤、防水材、樹脂製品など、挙げればきりがありません。
政府は、ナフサについても米国など中東以外からの代替調達を進めています。経済産業省は6月時点で、ナフサの調達量が従来の約85%まで回復し、川中製品の輸入やサプライチェーン内の在庫活用などによって、ナフサ由来の化学製品を含む石油製品について「年度を越えて供給を継続できる見通し」を示しました。7月25日の高市首相の発信でも、この見通しに変更はないとされています。現場を預かる立場として、これはかなり重要な情報だと受け止めています。
「ナフサ不足」と「建材値上がり」は分けて考える必要がある
ここが、私が今回一番お伝えしたいところです。中東情勢について報道されると、「原油が危ない」→「ナフサが不足する」→「建材が作れなくなる」→「家が建てられなくなる」と、つい一直線に考えてしまいがちです。私自身、正直そう思った時期もありました。しかし現在は、この「不足」と「価格」を分けて考える必要があると考えています。
① 建材そのものが不足するリスク
政府の現在の見通しどおり原油・ナフサの代替調達が進めば、短期的に日本全体で原料そのものが枯渇する可能性はかなり低くなっています。少なくとも現時点では、「ナフサがなくなって住宅建材の製造が止まる」ことを前提に住宅購入を急いだり、必要以上に不安になる状況ではないと、私は考えています。
② 建材価格が上がるリスク
こちらは、話が別です。中東情勢が不安定化すれば、原油価格の上昇、船舶の迂回による輸送距離の増加、海上運賃の上昇、戦争保険料の上昇、調達先変更によるコスト増などが発生する可能性があります。つまり、「物はある。でも以前より高い」という状況は、十分に考えられます。私たち住宅業界がこれから注視しなければならないのは、むしろこちらだと感じています。
住宅価格は今後どうなる?
では、今回の改善によって住宅価格の上昇も止まるのでしょうか。残念ながら、そこまで単純ではないというのが、21年間この会社の現場で価格の変動を見てきた私の率直な見方です。
住宅価格を構成するのは、ナフサ由来製品だけではありません。木材、鉄、アルミ、住宅設備、物流費、人件費、エネルギーコストなど、さまざまな要素が積み重なっています。そのため、原油やナフサの「量」が確保できたからといって、住宅価格が以前の水準に戻るわけではありません。
むしろ今後重要になるのは、原材料が確保できるかではなく、どのくらいの価格で調達できるかです。私達アイワホームとしても、仕入価格や物流費の変化を、これまで以上に細かく見ていく必要があると考えています。
中東情勢は再悪化。それでも日本の調達体制は以前とは違う
もちろん、中東情勢そのものが解決したわけではありません。ホルムズ海峡や紅海周辺の緊張がさらに高まれば、原油価格や海上輸送へ影響が広がる可能性はあります。また、現在予定されているタンカーの到着が遅れるなど、一時的な供給の偏りが発生する可能性もゼロではありません。ですから、「もう大丈夫」という話では決してありません。
ただ、日本はこの数か月で原油の調達先を大きく多角化してきました。ホルムズ海峡に極端に依存していた状態から、米国をはじめ複数地域から原油を確保する体制へ移行しつつあります。これは、今回の中東危機を通じて、日本のエネルギー調達構造そのものが変化し始めた、と見ることもできると私は感じています。
まとめ|「不足するか」から「いくらになるか」へ
2026年7月26日時点で状況を整理すると、原油については7月に前年平月比約10割の調達が見込まれ、8月についても同程度の調達にめどが立っています。ナフサ由来の化学製品についても、政府は年度を越えて供給可能との見通しを維持しています。
つまり住宅業界では、「ナフサ不足で建材が作れなくなる」という短期的なリスクは後退したと考えてよさそうだ、というのが私の見立てです。一方で、中東情勢が再び不安定化している以上、原油価格、海上運賃、保険料、物流費などを通じた建材価格上昇リスクは残っています。
これから吹田で住宅を検討される皆さまにも、「建材がなくなるのか」という情報だけを見るのではなく、「世界情勢が住宅価格にどう影響するのか」を、私たちと一緒に冷静に見ていっていただければと思います。
私たちアイワホームでは今後も、中東情勢や原油・ナフサ、住宅資材価格の動向を確認しながら、吹田で家づくりを検討されている皆さまに、住宅価格に関係する情報を分かりやすくお伝えしていきます。
※本記事は2026年7月26日時点で公表・報道されている情報をもとに作成しています。国際情勢や原油・建材価格は今後変動する可能性があります。
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