JR吹田駅の南口を出ると、駅前にはイオン吹田店や吹田さんくすがあり、その先には旭通商店街、新旭町通商店街など昔からの商店街が続いています。
このあたりを歩いていると、千里ニュータウンや江坂とはまた違う「昔からの吹田らしさ」を感じます。
一方で最近、JR吹田駅周辺では、駅前広場の活用や吹田さんくすの将来、保育所の整備など、これからの街を考えるいくつかの動きが同時に進んでいます。
「JR吹田駅前、再開発されるの?」
そう思われる方もいるかもしれません。ただ、2026年7月時点では、駅前一帯を大きく建て替える再開発事業が決定したわけではありません。今まさに進んでいるのは、これからJR吹田駅周辺をどんな街にしていくのか、その方向を具体的に探り始めている段階です。
今回は、現在公表されている資料をもとに、JR吹田駅周辺で何が動いているのか。そして、この街に住む人の暮らしが将来どう変わる可能性があるのかを整理してみます。
この記事でお伝えしたいこと
- JR吹田駅前における過去のバリアフリー再整備の背景と歩み
- 2026年度に予定される「さんくす夢広場」での社会実験と「通る駅前」からの転換
- 「吹田さんくす」将来検討会の現状と再開発に関する正しい認識
- 認可保育所(80〜100人規模・2028年想定)整備やホーム柵設置などの具体的変化
- 「資産価値が上がる」と安易に判断しないための不動産の冷静な視点
実はJR吹田駅前は、すでに一度大きく整備されています
まず知っておきたいのが、JR吹田駅前のまちづくりは今回突然始まったものではないということです。
吹田市が過去に作成した「JR吹田駅周辺地区」の都市再生整備計画を見ると、当時の目標には、駅前広場の段差解消、エレベーターやエスカレーターの設置、自転車駐車場の整備、バスターミナルの再整備、植栽や防災設備などが挙げられています。
事故防止や安全面を含め、現在の吹田市資料でも、JR吹田駅南側駅前広場は2011年度にバリアフリー化などの再整備が完了したとされています。
正直なところ、私自身は普段この駅をそれほど頻繁に利用するわけではありません。それでも、屋外エスカレーターができて改札まで行きやすくなったことは、自分の中でもはっきり「変わったな」と感じた出来事でした。日常的に使う人でなくても気づくくらいですから、毎日利用されている方にとっては、もっと大きな変化だったのではないかと思います。
つまり当時のまちづくりは、「駅を安全に、使いやすくする」ことが大きなテーマでした。それから約15年。今度は少し違う視点から、駅前のあり方が考えられ始めています。
「通る駅前」から「過ごす駅前」へ
2026年度に吹田市が予定しているのが、JR吹田駅南口の「さんくす夢広場」を使った社会実験です。広場にテーブルやベンチなどを設置して、人が座ったり、立ち止まったりできる場所をつくり、その結果、人の流れがどう変化するかを検証します。
吹田市が掲げているのは、「居心地が良く歩きたくなるまちづくり」です。
これだけ聞くと、「駅前にベンチを置くだけ?」と思うかもしれません。でも、街づくりの視点では意外と大きな意味があります。
今のJR吹田駅前は、電車を降りて自宅へ帰る、バスに乗る、買い物をするなど、「目的のために通る場所」という使われ方が中心です。そこに、
駅を降りる
↓
少し広場で過ごす
↓
商店街を歩く
↓
店に立ち寄る
という動きが生まれれば、駅前と商店街の関係も変わってきます。大規模な建物を造る前に、まず「人がどう動くのか」を試してみる。今回の社会実験は、そんな意味を持つ取り組みだと考えると分かりやすいと思います。
吹田さんくすの将来についても話し合いが始まっています
そして、もう一つ注目しておきたいのが「吹田さんくす」です。現在、団地管理組合法人を中心に「吹田さんくすの現状と今後に向けた検討会」が開かれています。
2026年4月1日現在、大阪府都市整備推進センターには、この活動が「JR吹田駅南口周辺再開発に向けての活動」として登録されています。その内容は、吹田さんくすを中心とするJR吹田駅周辺について、商業・業務・住宅などの複合的な機能を備えた魅力ある街にするため、今後の方向性を検討するというものです。
2026年2月に開催された検討会には、組合員だけではなく、さんくすの出店者や周辺店舗の経営者なども参加しています。市も、議論の進展に応じて情報提供や助言、連携、支援を行う考えを示しています。
ただし、ここは大事なところです。吹田さんくすの建て替えや再開発が決定したわけではありません。建物をどうするのか、駅前をどんな場所にするのか、その方向を話し合っている段階です。「再開発されるらしい」と先走るのではなく、今後どんな方向へ議論が進むのかを見ていく必要があります。
実は以前から「駅南口をどうするか」は検討されていました
今回の動きにも前段があります。吹田市では2019年度からJR吹田駅周辺の活性化について検討を進め、2020年度には関係機関と「JR吹田駅南口周辺グランドデザイン(案)」を取りまとめ、その後も基礎調査やブラッシュアップを行っていました。
つまり、
以前から将来像について考えていた
↓
すぐに大規模事業が始まったわけではなかった
↓
現在、吹田さんくす側で将来に向けた検討が進み始めた
↓
駅前広場では社会実験も始まる
という流れです。私は、2026年はJR吹田駅周辺のまちづくりが、再び具体的に動き始める一つの節目になるのではないかと見ています。
駅前には80~100人規模の保育所も計画されています
街づくりというと建物や広場の話に目が行きますが、住む人の暮らしに直接関係する動きもあります。JR吹田駅南立体駐車場跡地では現在、吹田市が認可保育所の設置事業者を募集しています。
予定されている定員は80~100人程度です。市の資料では2028年4月の開設を想定しており、保育所だけを整備する方針が示されています。地域からは、駐車場機能、送迎車による違法駐車、歩行者の安全、商店街との連携などについて要望も出ています。
駅近くに保育所ができれば、子育て世帯にとっては大きな変化です。一方で、送迎時間帯の交通や周辺道路への影響などは、実際に住む人にとって気になるところでしょう。新しい施設ができることだけを見るのではなく、周辺の暮らしとどう共存するかまで見ておきたいところです。
JR吹田駅自体も、より安全な駅へ
駅そのものにも変化があります。JR西日本は、2026年度に吹田駅の2・3番のりばへ可動式ホーム柵を設置する計画を発表しています。これが完成すると、吹田駅は全のりばでホーム柵の整備が完了する予定です。
再開発ほど目立つ話ではありませんが、毎日駅を利用する人にとってはこちらの方が身近な変化かもしれません。特に小さなお子さんを連れた家庭や高齢者にとって、駅の安全性が高まることは暮らしやすさに直結します。
駅前が変わると、周辺の住宅地にも関係する?
不動産の仕事をしていると、駅から徒歩何分か、スーパーが近いか、学校までどれくらいか、といった条件をよく確認します。もちろんそれらは大切です。ただ実際に住み始めると、それだけではありません。
「駅から家まで歩いていて気持ちがいい」
「仕事帰りにちょっと寄れる店がある」
「休日に子どもと駅前へ出かけられる」
そんな日常の積み重ねも、街の住みやすさをつくっています。吹田市の立地適正化計画でもJR吹田駅周辺は「都市拠点」に位置付けられ、商店街を地域コミュニティの核としながら、ふれあいと活気のある商業空間を目指す方針が示されています。
だから今回注目したいのは、建物が新しくなるかどうかだけではありません。駅前に人が滞在するようになるのか。商店街まで人が歩くようになるのか。新しい店やサービスが入りやすい街になるのか。子育て世帯や高齢者が使いやすい駅前になるのか。こうした変化の方が、長い目で見ると周辺に住む人の暮らしに効いてくるのだと思います。
今の段階で「資産価値が上がる」とは言えません
一方で、住宅会社として一つ注意しておきたいことがあります。駅前のまちづくりが動き始めたからといって、「これから地価が上がる」「資産価値が高くなる」と単純に判断することはできません。
吹田さんくすについてはまだ検討段階ですし、さんくす夢広場についても今回は社会実験です。計画が具体化していけば、商業利便性や歩行環境、人の流れが変わる可能性はありますが、不動産価格には金利や住宅需要、土地供給など多くの要因があります。
ですから土地や住宅を選ぶ際には「将来再開発されそうだから」という理由だけで判断するのではなく、今の暮らしやすさと、これから変わる可能性の両方を見ることが大切だと思います。
これからのJR吹田駅周辺がちょっと楽しみです
JR吹田駅前には、昔ながらの商店街があります。吹田さんくすもあります。そして少し歩けば、細い路地や昔からの住宅が残る地域もあります。
何もないところに新しい街を一から造るのとは違い、JR吹田駅周辺のまちづくりで難しいのは、今ある街を残しながら、次の時代に合う形へどう変えていくかということではないでしょうか。
個人的には、全部をピカピカにしてしまうより、今のJR吹田駅周辺にある少し懐かしい雰囲気や商店街の良さを残しながら、歩きやすく、立ち寄りやすく、子どもから高齢者まで過ごしやすい街になっていけば面白いと思っています。
2026年現在は、まだ「完成形」が見えている段階ではありません。だからこそ、これからどう変わっていくのかを地元の住宅・不動産会社として継続して見ていきたいと思います。数年後、JR吹田駅を降りたときに、「そういえば、前はこんな駅前じゃなかったな」と思う日が来るかもしれません。その変化が、吹田に住む人にとって良いものになるのか。これからの動きを楽しみに追いかけていきます。
今 利之(こん としゆき)
アイワホーム株式会社 マーケティング担当
2005年入社。新築営業からキャリアをスタートし、リフォーム・メンテナンス、賃貸、建築の各部門を経て、現在はマーケティング担当として吹田市の暮らしと不動産情報を発信しています。
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アイワホーム株式会社
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