火災保険シリーズ第4回です。

これまで、
第1回では「火災保険はなぜ高くなったのか」。
第2回では「火災保険はどこまで補償されるのか」。
第3回では「吹田で水災補償は必要なのか」。
について考えてきました。

そして今回は、火災保険を考えるときに避けて通れない、「地震保険は必要なのか?」というテーマです。

新築住宅を購入するとき、
「耐震性能の高い家なら、地震保険はいらないのでは?」
「地震保険に入っても、家を建て直せるだけの保険金が出ないなら意味がないのでは?」
そんな疑問を持つ方もいると思います。

実は、どちらも地震保険を考えるうえで大切な視点です。なぜなら地震保険は、火災保険とは少し役割の違う保険だからです。そして吹田でこの話をするなら、まず振り返っておきたい地震があります。

この記事でお伝えしたいこと

  • 2018年大阪府北部地震(吹田市震度5強・被害3,842件・支払再保険金1,252億円)の実態
  • 地震火災・倒壊は火災保険の対象外:地震保険(単独加入不可)の役割
  • 「家を元通りにする保険ではない」理由:火災保険の30〜50%上限と4つの損害区分
  • 耐震等級3(アイワホーム標準)による「地震保険料50%割引」と大阪府の保険料試算
  • 吹田市の地震保険付帯率75.1%と、上町断層帯・南海トラフ巨大地震への備え

2018年、吹田は震度5強を経験しています

2018年6月18日午前7時58分。大阪府北部を震源とするマグニチュード6.1の地震が発生しました。吹田市内本町では震度5強を観測しています。気象庁によると、震源の深さは13kmでした。

吹田市が現在公表している2019年6月28日時点の被災情報では、住家の被害認定は、

  • 大規模半壊 1件
  • 半壊 5件
  • 一部損壊 3,836件
  • 合計 3,842件

人的被害も62人確認されています。ここで注目したいのは、家が完全に倒壊するような被害だけが「地震被害」ではないということです。

大阪府北部地震では、吹田市で全壊として公表されている住家はありません。それでも、3,800件を超える住宅で何らかの被害が認定されました。「倒壊しなかったから被害ゼロ」ではないのです。

大阪府北部地震では、地震保険に関する支払いも大きな額になった

では、実際に地震保険はどれくらい使われたのでしょうか。

日本地震再保険が公表している2026年3月31日時点の地震再保険金支払状況を見ると、大阪府北部地震では、

  • 支払契約件数 160,049件
  • 支払再保険金 125,208百万円

となっています。金額にすると、約1,252億円です。現在の支払額ランキングでも、大阪府北部地震は地震保険制度発足以降で5番目に大きな地震となっています。

吹田にとって地震保険は、「いつか遠い場所で大地震が起きたときのための保険」ではありません。実際に自分たちの街が大きく揺れ、多くの住宅が被害を受けた経験があります。

地震で火事になっても、通常の火災保険だけでは補償されない

これは火災保険シリーズ第2回でも触れましたが、地震保険を考えるうえで非常に重要です。

例えば、地震でストーブが倒れた。そこから火災が発生した。住宅が焼けた。「火事なのだから火災保険で補償される」と思うかもしれません。

しかし、地震・噴火、またはこれらによる津波を原因とする火災・損壊・埋没・流失は、通常の火災保険だけでは補償されません。

こうした損害を補償するためにあるのが地震保険です。地震保険は単独では契約できず、火災保険とセットで契約する仕組みになっています。

地震保険は「家を元通りにする保険」ではない

ここが、地震保険を理解するうえで一番大切かもしれません。「地震保険に入っても、家を建て直せるだけのお金は出ない」これは事実です。

地震保険の保険金額は、火災保険の保険金額の30%~50%の範囲で設定します。さらに上限は、建物5,000万円、家財1,000万円です。

例えば建物の火災保険金額が3,000万円なら、地震保険として契約できるのは最大でも、

3,000万円 × 50% = 1,500万円

です。地震で住宅を失ったからといって、3,000万円がそのまま支払われるわけではありません。では、それなら地震保険は何のためにあるのでしょうか。

地震保険制度の目的は、住宅を完全に元通りにすることではありません。財務省も地震保険について、「被災者の生活の安定に寄与する」ための制度として説明しています。つまり地震保険は、家を100%再建するための保険というより、被災後の生活再建を支えるための資金を確保する保険と考えた方が分かりやすいと思います。

修理費500万円なら、500万円出るわけでもない

もう一つ、火災保険と大きく違うところがあります。地震保険では、実際にかかった修理費をそのまま精算する仕組みではありません。

損害の程度を以下の4区分で認定し、その区分に応じて保険金が支払われます。

損害区分 支払われる保険金
全損 地震保険金額の100%
大半損 地震保険金額の60%
小半損 地震保険金額の30%
一部損 地震保険金額の5%

先ほどの例で地震保険金額が1,500万円なら、

  • 全損:1,500万円
  • 大半損:900万円
  • 小半損:450万円
  • 一部損:75万円

となります。例えば修理に300万円かかったから、地震保険から300万円がそのまま支払われるわけではありません。建物の場合、一部損でも、主要構造部の損害割合が3%以上20%未満など、一定の認定基準があります。ですから、「地震保険に入っていれば、地震で傷んだところを何でも修理できる」という保険でもありません。

それでも、なぜ地震保険に入るのか

ここからが今回の記事で一番考えたいところです。

例えば、家を購入して3年後に大きな地震が起きたとします。住宅ローンは、まだほとんど残っています。住宅に大きな被害が出ました。修理費が必要になる。場合によっては、一時的な住まいも必要になる。家具や家電も買い直す。仕事を休まなければならないこともあるかもしれません。

それでも、住宅ローンの返済は残ります。

ここが住宅購入後の地震リスクの怖いところです。単に「家が壊れた」だけではありません。「住宅ローンを抱えた状態で、突然まとまった現金が必要になる」という家計リスクが発生します。私は、ここに地震保険の本当の役割があると思います。

地震保険は「地震が来る確率」だけで考えない

保険を考えるとき、「地震が来る確率は何%なのか?」に目が行きます。もちろん、それも大切です。ただ、保険というものを考えるなら、もう一つ質問してみてほしいと思います。

もし明日、大きな地震が起きたら、その損失を今の家計だけで吸収できますか?

例えば、

  • 住宅ローン残高がまだ大きい
  • 住宅購入で預貯金を使ったばかり
  • これから子どもの教育費が必要
  • 数百万円単位の突発的な支出は厳しい

という家庭なら、一度起きたときの家計への影響は非常に大きくなります。逆に、住宅ローンがほとんど残っていない、十分な金融資産がある、住宅に大きな被害が出ても自己資金で対応できる、という状況なら、地震リスクをある程度自分で負担するという考え方もあります。

保険は本来、小さな損失を何でも補償してもらうためのものではなく、自分だけでは背負いきれない損失に備えるものです。そう考えると、地震保険の必要性は「地震が来そうか」だけでは決められません。

「耐震等級3だから地震保険はいらない」はどう考える?

新築住宅では、こんな疑問もあります。「耐震等級3なら、地震保険はいらないのでは?」

確かに、家そのものを地震に強くすることは非常に重要です。アイワホームでも、耐震等級3を標準としています。

ただし、耐震性能と地震保険は、そもそもの役割が違います。耐震性能は、地震で建物が受ける被害や倒壊リスクを小さくするためのもの。地震保険は、それでも被害が発生した場合に、家計が受けるダメージを軽減するためのもの。です。

そして地震保険制度自体も、住宅の耐震性能を評価しています。耐震等級割引は、

  • 耐震等級1:10%
  • 耐震等級2:30%
  • 耐震等級3:50%

です。つまり制度としても、「耐震性能が高いから地震保険は不要」ではなく、「耐震性能が高い住宅なら地震保険料を安くする」という考え方になっています。耐震等級3の住宅であれば、所定の確認資料を用意することで50%割引を受けられる可能性があります。

大阪府なら、地震保険料はいくら?

では実際、地震保険はいくらくらいするのでしょうか。2022年10月1日以降に保険期間が始まる契約では、大阪府の場合、保険金額1,000万円・1年間あたりの基本料率は、

  • イ構造(主として鉄骨・コンクリート造など):11,600円
  • ロ構造(主として木造建物など):19,500円

です。ただし、木造住宅でも省令準耐火建物など一定の条件を満たす場合はイ構造となる場合があります。

例えばロ構造で、地震保険金額を1,500万円とすると、
19,500円 × 1.5 = 年間29,250円 が割引前の基本的な計算になります。

これが耐震等級3の50%割引対象なら、年間14,625円です。

もちろん実際の契約では、構造区分、保険期間、割引適用条件などを確認する必要があります。ただ、「地震保険は高そうだから外す」と最初から考えるのではなく、自分の住宅なら実際にいくらなのかまで確認してから判断した方がいいと思います。

吹田では、4件に3件が地震保険を付けている

実際の加入状況も見てみましょう。損害保険料率算出機構による2024年度の地震保険付帯率は、

  • 全国:70.4%
  • 大阪府:71.5%
  • 吹田市:75.1%

です。全国の付帯率が70%を超えたのは統計開始以降初めてでした。ここでいう「付帯率」は、その年度に契約された住宅用火災保険契約のうち、地震保険もセットで契約されている割合です。

つまり2024年度の吹田市では、火災保険契約のおよそ4件に3件で地震保険が付けられていたことになります。

もちろん、「みんなが入っているから、自分も入るべき」という意味ではありません。ただ、大阪府北部地震を経験した吹田で、地震保険を選んでいる人が全国平均よりやや多いというのは、一つの参考にはなると思います。

吹田で、これから大きな地震は想定されている?

過去の地震だけではありません。吹田市が令和5年度に実施した地震被害想定では、南海トラフ地震、上町断層帯地震、有馬高槻断層帯地震、生駒断層帯地震について被害が試算されています。その中で、吹田市に最も大きな被害をもたらす想定となっているのが上町断層帯地震です。

市の想定では、

■ 上町断層帯地震
・全壊:7,291棟
・半壊:12,071棟

■ 南海トラフ地震
・全壊:433棟
・半壊:5,501棟

とされています。また吹田市地域防災計画では、市の震度想定として、

  • 南海トラフ地震:震度6弱
  • 上町断層帯地震:震度6弱~7

が示されています。もちろん、これは一定の条件に基づいたシミュレーションです。「必ずこの数の建物が壊れる」という予測ではありません。ただ、吹田は地震リスクを考えなくてもよい街ではないということは分かります。

南海トラフ地震の「60~90%程度以上」はどう読む?

南海トラフ地震については、2025年9月に地震調査研究推進本部が長期評価を一部改訂しました。現在は、今後30年以内の発生確率について、二つの計算方法から、

  • 20~50%
  • 60~90%程度以上

という二つの値が示されています。どちらの計算結果も、発生確率ランクでは最も高い「Ⅲランク(高い)」です。

地震本部は、どちらの計算方法にも科学的根拠があり優劣は付けられないとしたうえで、防災対策を考える際には「60~90%程度以上」を念頭に行動することが望ましいとしています。

ここも、数字だけを見て必要以上に怖がるのではなく、「いつ起きるかは分からない。しかし、備えておくべきリスクとして評価されている」と受け取るのが適切だと思います。

では、吹田で地震保険は必要なのか?

ここまで調べたうえで、私たちなりの答えを出すなら、「吹田に住む全員が必ず地震保険に入るべき」とまでは言いません。保険の必要性は、その家庭の資産状況や住宅ローン残高によって違うからです。

ただし、これから住宅ローンを組んで家を購入する方については、最初から地震保険を外して考えることはおすすめしません。

住宅購入直後は、住宅ローン残高が最も大きい。頭金や諸費用で現金も減っている。子育て世帯なら、これから教育費も必要になります。その状態で大きな地震が起こると、「住宅ローン + 住宅の修理 + 一時的な住居 + 家財の買い替え」が同時に家計へ乗ってくる可能性があります。

地震保険だけですべてを元通りにすることはできません。それでも、被災直後に数十万円、数百万円、場合によっては1,000万円を超える資金を確保できるかどうかは、その後の生活再建に大きく影響します。

「家を守る備え」と「暮らしを守る備え」

家づくりでは、まず地震に強い家をつくることが大切です。しかし、それですべてのリスクがなくなるわけではありません。私は、この二つを分けて考えるのが分かりやすいと思います。

耐震性能は「家を守る備え」。
地震保険は「被災後の暮らしを守る備え」。

役割が違います。

2018年、大阪府北部地震で吹田市は震度5強を経験しました。3,800件を超える住家被害が認定されました。大阪府北部地震に関する地震再保険金の支払いは、その後約1,252億円に達しています。そして将来についても、吹田市では南海トラフ地震や上町断層帯地震による被害が想定されています。

だから地震保険を考えるとき、「地震が来るか、来ないか」だけではなく、「もし明日地震が起きたら、住宅ローンを抱えた今の家計で、その損失を受け止められるか」まで考えてみてほしいと思います。

その答えが、自分たちの家庭に地震保険が必要かどうかを判断する、一つの大きな基準になるのではないでしょうか。

※本記事は地震保険制度および公開されている統計・被害想定について一般的な情報を整理したものです。地震保険への加入を一律に推奨するものではありません。補償内容、保険金額、保険料、構造区分、割引の適用条件などは個別の契約や建物によって異なります。実際の契約については保険会社または代理店へご確認ください。また、地震被害想定や地震発生確率は一定の条件や科学的モデルに基づく評価であり、実際の地震の発生時期や被害を予測・保証するものではありません。

今 利之(こん・としゆき)
アイワホーム株式会社 マーケティングディレクター
2005年入社、吹田の地で21年。新築営業・リフォーム・メンテナンス、賃貸、工事部門など、現場の最前線で歩んできました。


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本社:大阪府吹田市高浜町9-9 アイワステーションビルⅤ号館
フリーダイヤル:0120-359-395
※吹田で、理想の住まいづくりを。創業36年、地域に根ざしたアイワホームが、家づくりの一歩をサポートします。

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