先日、あるお客様と土地を見に行ったときのことです。
間口も十分あり、駐車場も2台分きれいに取れそうな土地でした。ところが、実際に車の出し入れを想定してみると、「ちょうどそこに電柱がある」ということがありました。
こういうとき、必ずと言っていいほど出てくるのが、
「邪魔なら、電柱を少し動かしてもらえばいいんじゃない?」
という話です。
確かに、電柱は移設できる場合があります。ただ、実際の電柱移設は、思っているほど単純ではありません。今回は、普段何気なく見ている「電柱」を、家づくりの目線から少し掘り下げてみたいと思います。
この記事でお伝えしたいこと
- 電柱の所有者(関西電力送配電柱 vs NTT柱)と共架設備の見分け方
- 電柱の番号プレートから所有者を見分ける現場での目安
- 車の出し入れ・駐車場計画で盲点になりやすい「斜めの支線(ワイヤー)」
- 必ず移設できるとは限らない理由と、費用負担(無料/有料)・検討期間のリアル
- アイワホームが土地販売前に行っている事前確認と移設調整の取り組み
そもそも、その「電柱」は誰のもの?
まず最初に確認しなければならないことがあります。それは、その電柱を誰が所有しているのか、ということです。
街中に立っている柱を、私たちは普段まとめて「電柱」と呼んでいます。ところが、関西で見かける柱がすべて関西電力送配電の所有とは限りません。NTT西日本など通信会社が所有している柱もあります。関西電力送配電の資料でも、「関西送配電柱」と「NTT柱」があることが示されており、両社の設備が共用されている場合もあります。
現場でも、「関電の電柱だと思って確認したら、NTTの柱だった」ということがあります。見た目は同じような電柱でも、移設を相談する場合にはこの違いが重要になります。
関西電力送配電は、自社所有の電柱・支線などについては移設申込みを受け付けていますが、他社所有の電柱については、その電柱の所有者へ連絡するよう案内しています。NTT西日本にも、NTT所有の電柱やケーブルの移設を申し込む専用のWeb窓口があります。
つまり、「電柱を動かしたい」から始まるのではなく、「まず、この柱は誰の柱?」から始まる。これが電柱移設の第一歩です。
電柱のプレートを見ると、所有者の目安が分かる
では、その電柱が誰のものなのか、どうやって確認するのでしょうか。
電柱を見ると、番号などが書かれたプレートが取り付けられています。共用柱の場合、このプレートの位置が所有者を見分ける手がかりになりますが、実はこの「上下どちらが所有者を示すか」という基準は、地域や現場によって違いが見られます。通信会社側の資料でも、番号札が2枚ある場合の所有者の判断は柱の状況によって分かれる、と説明されているものがあります。
私自身が現場で数多くの電柱を確認してきた実感としては、下側についているプレートの会社が所有者であるケースが多い印象です。ただし、これもあくまで現場での傾向であり、絶対的な基準ではありません。プレートが複数あって判断に迷う場合は、最終的には設備を管理している会社へ確認するのが確実です。
土地を見に行ったときに、「こんなプレートが付いているんだ」と一度見てみるのも面白いと思います。
「右に1m動かしてください」と簡単にはいかない
所有者が分かれば、「では、ここから少し横に動かしてください」と言えば終わりそうですが、そう簡単でもありません。
電柱は、その一本だけで独立している設備ではありません。電線が次の電柱へつながり、場合によっては通信線など他社の設備も取り付けられています。実際、関西電力送配電も電柱への通信線などの「共架」に関する仕組みを設けていますし、NTT西日本も自社電柱へのケーブル等の添架を受け付けています。
そのため、電柱を動かすとなると、
- どこへ移すのか
- その場所に新しい柱を設置できるのか
- つながっている設備はどうなるのか
などを確認する必要があります。電柱は家具のように、少し横へずらせば終わりというものではありません。ここが家づくりをしていると実感するところです。
実際に「車の出入り」が移設理由になることもある
家づくりで特に問題になりやすいのが、駐車場です。
土地の図面に「間口6m」「駐車2台可能」と書かれていたとしても、実際にその6mすべてを自由に使えるとは限りません。車を出し入れしたい場所に電柱が立っていれば、当然その分だけ動きが制限されます。
関西電力送配電の資料でも、電柱移設の申込み例として、車の出し入れの支障になるため移設してほしいというケースが紹介されています。
ですから土地を見るときは、単純に「車を置けるか」だけではなく、「実際に道路から出し入れしやすいか」まで考える必要があります。これは電柱に限りません。道路幅、道路との高低差、隣地の塀、道路標識などによっても、車の出入りのしやすさは変わります。図面上では成立していても、現地では条件が違う。土地選びでは、こういうところが意外と重要です。
電柱だけでなく「支線」にも注意
もう一つ見ておきたいのが「支線」です。電柱から斜めに地面へ伸びているワイヤーを見たことがあると思います。あれが支線です。
電柱本体は駐車場から少し離れているのに、支線だけが車の出入りする場所にかかってくるということもあります。関西電力送配電でも、電柱だけでなく「支線等」を含めて移設手続きの対象として案内しています。
土地を見るときは、「電柱がどこに立っているか」だけではなく、その周辺に支線などがないかまで見ておくと、実際の家づくりをイメージしやすくなります。
電柱は、頼めば必ず動かせるわけではない
では、駐車場の邪魔になるのであれば、必ず移設してもらえるのでしょうか。ここも重要なポイントです。
答えは、必ず移設できるとは限りません。関西電力送配電の資料にも、設備の状況によっては移設に対応できない場合があることが明記されています。
当然ですが、電柱を移動するには新しい設置場所が必要です。また、周囲の設備や電線の状態などによっても条件は変わります。そのため、「ここが邪魔だから、あそこへ移してください」と希望した場所へ、そのまま移せるとは限りません。実際には、設備所有者による確認や検討を行ったうえで、移設可能かどうかを判断することになります。
「電柱移設は無料」とも限らない
費用についても、「電力会社の設備だから、無料で移動してくれる」と思ってしまうのは少し注意が必要です。
関西電力送配電の資料では、設備の設置状況によって、小売電気事業者またはお客さまが工事費を負担する場合があるとされています。つまり、電柱移設に全国共通の定額料金があるわけではありません。
- 誰の設備なのか
- どこに設置されているのか
- なぜ移設するのか
- どこへ移設するのか
- どのような工事が必要なのか
こうした条件によって扱いが変わります。ですから、土地を見ただけで「この電柱なら無料で動かせます」「〇万円で動かせます」と判断することはできません。所有者へ確認し、個別に判断してもらう必要があります。
移設には時間も必要
そしてもう一つ、家づくりをする側として気を付けているのが「時間」です。
電柱移設は、申し込んだ翌日に工事へ来てもらえるようなものではありません。所有者の確認から始まり、設備状況を調べ、移設できる場所を検討し、必要な調整を行ってから工事へ進みます。関西電力送配電も、一般の個人・法人向けに電柱・支線等の移設申込み窓口を設けていますが、設備の種類によって手続きが分かれています。NTT西日本についても電柱・ケーブル移設専用の受付があります。
そのため新築計画では、「家ができてから考えればいい」では遅いことがあります。駐車計画などに影響しそうな電柱があれば、できるだけ早い段階で確認しておく必要があります。
私たちは、土地を販売する前にも電柱を見ています
ここまで読むと、「土地を買ったあとに、自分で電柱移設の交渉をしないといけないの?」と心配になる方もいるかもしれません。
少なくとも、私たちアイワホームが自社で販売する土地については、そういう考え方ではありません。土地を仕入れた段階で、
- 建物がどう入るのか
- 駐車場をどこに配置するのか
- 車は出入りしやすいのか
- そして、そこに電柱や支線がないか
こうしたことも確認しています。そのうえで、どう考えても家づくりや駐車計画の支障になる電柱がある場合には、必要な移設や調整を行ったうえで土地を販売します。
お客様に土地を購入していただいてから、「そういえば、この電柱邪魔ですね。あとはお願いします」ということではありません。
電柱は、販売図面では小さな記号一つかもしれません。でも、実際にそこで暮らすことを考えれば、車の出し入れにも、外構計画にも影響することがあります。だから私たちは、家だけではなく、その家を建てる土地の周りまで見ています。
私自身、新築営業からリフォーム・メンテナンス、賃貸、工事部門まで、現場の最前線を歩んできました。土地の図面だけでは分からないことが、現地には必ずあります。電柱もその一つです。
土地を見に行ったら、少しだけ「電柱」も見てみてください
もちろん、電柱がある土地=悪い土地という話ではありません。住宅街には電柱があるのが普通ですし、そこに電柱があっても家づくりにまったく影響しないケースの方が多いでしょう。
大切なのは、その電柱が、自分たちが建てようとしている家や暮らしに影響する位置なのかということです。
次に土地を見に行く機会があれば、日当たりや土地の広さを見るついでに、道路側も少し見てみてください。
- 電柱はどこにあるか
- 斜めに伸びる支線はないか
- 車はどこから入ることになりそうか
そしてもし「これ、ちょっと邪魔じゃない?」と思ったら、不動産会社や住宅会社に聞いてみる。普段なら気にも留めない一本の電柱ですが、家づくりの目線で見ると、意外と奥が深いものです。土地を見るときのチェックポイントが、また一つ増えるかもしれません。
参考資料
- 関西電力送配電株式会社「電柱・支線等の配電設備の移設に関するお手続き」
- 関西電力送配電株式会社「各種申込WEB操作マニュアル(別冊)」
- NTT西日本「電柱・ケーブルの移設」関連案内
今 利之(こん・としゆき)
アイワホーム株式会社 マーケティングディレクター
2005年入社、吹田の地で21年。新築営業・リフォーム・メンテナンス、賃貸、工事部門など、現場の最前線で歩んできました。
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※創業36年、吹田の地で家族の暮らしに寄り添う住まいづくりを。吹田の暮らしに、いちばん近い住宅会社でありたい。
